2015クラシック馬のプロフィール(2)

ニューマーケットのクラシック馬、前回に続いて今日は1000ギニー勝馬レガティッシモ Legatissimo を取り上げます。彼女も2000ギニー馬グレンイーグルス Gleneagles 同様クールモアの所有馬で、近親にクラシック馬という血統好きには堪えられないファミリーの出身です。
即ち、同馬の母が2009年の愛ダービー馬フェイム・アンド・グローリー Fame and Glory の全姉ということで、レガティッシモのプロフィールも追加することは極く僅かなのです。それでもフェイム・アンド・グローリーがクラシックを制した2009年はこのシリーズをスタートさせたばかりで、余り深入りはしていません。その辺りをもう少し詳しく取り上げていきましょう。

レガティッシモは、父デインヒル・ダンサー Danehill Dancer 、母ヤミー・マミー Yummy Mummy 、母の父モンジュー Montjeu という血統。ドイツ系の牝系ということは2009年の記事を参照してください。↓

http://merrywillow.com/?p=1206

牝系に入る前に、父デインヒル・ダンサーについて簡単に。父はデインヒル Danehill 、その父がダンジグ Danzig ということで、距離適性はノーザン・ダンサー Northern Dancer 系ではやや短めと思われますが、配合によっては長距離も克服しており、レガティッシモのオークス、距離的な不安要素は少ないように思われます。
デインヒル・ダンサーはレガティッシモが既に14年目の産駒ということで、クラシックは5頭目になります。即ち2003年産のスペシオザSpeciosa の1000ギニー、2006年産は大当たりで、愛1000ギニーのアゲイン Again と愛2000ギニーのマスタークラフツマン Mastercraftsman 。ここまではマイラー中心の活躍馬が目立ちましたが、スタミナ牝系との配合で産まれた2008年産のダンシング・レイン Dancing Rain がイギリスとドイツのオークスを制し、牝系との柔軟性を証明して見せました。
で、今年のレガティッシモはどうか?

母ヤミー・マミー(2005年 鹿毛 父モンジュー Montjeu)はフェイム・アンド・グローリーの一つ上の全姉で、クールモアとは無関係。アイルランドのフランシス・エニス厩舎に所属し、1月1日生まれだったという所が興味を惹きます。
2歳時はゴウランの7ハロンとカラーの8ハロンで2戦、何れも着外でした。翌3歳の3戦目、8月にスリゴ競馬場の10ハロン戦を逃げ切って初勝利を挙げましたが、勝鞍はこの1戦のみ。この年ネイヴァン競馬場のハンデ戦で23頭立て15着に敗れたのを最後に繁殖入りします。勝鞍が10ハロンということで、やはりスピードよりはスタミナという成績でした。

母馬としてのヤミー・マミーは以下の通り。
2010年 アナザー・カクテル Another Cocktail 鹿毛 せん 父ダラカニ Dalakhani ハギー・モリソン厩舎で12戦1勝2着2回3着3回 リングフィールドで12ハロンの未勝利戦に勝ってクラシックを目指すも、能力的に及ばず。
2011年 ロイヤル・バタリオン Royal Battalion 鹿毛 牡 父シー・ザ・スターズ Sea the Stars 6戦未勝利2着1回3着1回(内、障害レース1戦) 現役
2012年 レガティッシモ

今年の1000ギニー馬は、母の3年目の産駒で、現時点では2頭目の勝馬。シー・ザ・スターズなど超一流の種牡馬に種付けしている所から判断しても、生産者の期待が大きいことが判ります。

2代母がフェイム・アンド・グローリーの母でもあるグライアダ Gryada (1993年 鹿毛 父シャーリー・ハイツ Shirley Heoghts)。ここからは2009年のクラシック馬のプロフィールと同じなので省略したいところですが、6年前は記事も簡略でしたし、それ以後の成績も積み重なっていることでもあり、やや詳しく纏めておきましょう。2代母の現在までの繁殖成績は、
1998年 グァランダ Guaranda 鹿毛 牝 父アカテナンゴ Acatenango 9戦2勝 父はドイツの名種牡馬
1999年 グランピアン Grampian 鹿毛 牡 父セルカーク Selkirk 26戦4勝 イボア・ハンデ3着 この馬はフェイム・アンド・グローリーのプロフィールでも短く紹介しました。
2001年 グレアム・アイランド Graham Island 鹿毛 せん 父アカテナンゴ 17戦2勝
2002年 グリスカーク Gryskirk 鹿毛 せん 父セルカーク Selkirk 19戦1勝
2003年 ゲイズ Gaze 鹿毛 牝 父ガリレオ Galileo 14戦2勝
2005年 ヤミー・マミー
2006年 フェイム・アンド・グローリー
2007年 レイン・フォレスト Rain Forest 鹿毛 牡 父サドラーズ・ウェルズ Sadler’s Wells 9戦2勝 エイダン・オブライエン厩舎でネイヴァンとゴウラン・パークで2勝 カタールに売却
2010年 グレイス・アンド・グローリー Grace and Glory 牝 父モンジュー Montjeu 未出走?
2011年 グレイス・アンド・フェイヴァー Grace and Favour 鹿毛 牝 父モンジュー アンドリュー・ボールディング厩舎で現在まで5戦1勝 今年チェプトウ競馬場の10ハロン戦で初勝利、現役

この内、2頭目の娘ゲイズは、早くもオーストラリアでリステッド戦に2勝している(現時点で)グレートウッド Greatwood (2010年 鹿毛 せん)の母にもなっています。

これで無事フェイム・アンド・グローリーのプロフィールに繋がる訳ですが、2頭の間に誕生した近親のGⅠ馬を1頭紹介しておきましょう。それが2008年生まれのファー Farhh です。
レガティッシモの3代母グリムポーラ Grimpola (1982年 鹿毛 父ヴィンドヴルフ Windwurf)の娘ゴンファロン Gonfaron (1989年)、その娘ゴンバルダ Gonbarda (2002年)から生まれたのがファー。

ファーについては当ブログ内で検索すればほとんどの経歴を読むことが出来ますが、デビューから3連勝していきなりGⅠ(プリンス・オブ・ウェールズ・ステークス)に挑戦して3着。
続いてエクリプス・ステークス、サセックス・ステークス、ジャドモント・インターナショナル、ムーラン・ド・ロンシャンと全てのGⅠ戦で何れも2着し、ロッキンジ・ステークスとチャンピオン・ステークスの二つのGⅠ戦を制した名馬です。
G戦には7回走りましたが、全てがGⅠ戦で、3着が一番悪い成績という珍しいキャリアでもあります。1マイルから10ハロンまでを得意としていました。

以上、レガティッシモの長距離適性はやって見なければ判らないという側面もありますが、スタミナ馬を多く輩出したファミリーだけに、克服する可能性はかなり高いと見るべきでしょう。

 

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