地元で復権
今週のアメリカ競馬は、昨日まで開催されていたロイヤル・アスコットでウェスリー・ワード調教師が3勝の大活躍、アメリカ本土を凌ぐ話題だったと思われます。三冠レースも終えた翌週と言うこともあり、土曜日は3つの競馬場でG戦が一鞍づつ、静かな週末でもありました。
日本の競馬サークルに比べるとアメリカの馬がヨーロッパに遠征することは珍しいことで、その保守性を指摘する向きもありますが、少ないこととは言いながら遠征すればシッカリ結果を出すところは流石だと思いました。我が国も見習いたいノウハウがあるのでしょう。
という前置きで、先ずはデラウエア・パーク競馬場のオベアー・ステークス Obeah S (GⅢ、3歳上牝、9ハロン)から行きましょうか。1頭が取り消して10頭立て。前走ピムリコのアレール・デュポン・ディスタッフ・ステークス(GⅢ)で21対1ながら3着したジョイント・リターン Joint Return が5対2の1番人気。
レースはジョイント5番人気(7対1)のナタリー・ヴィクトリア Natalie Victoria が逃げ、ジョイント・リターンは後方。2番手に付けていたジョイント5番人気の1頭モンタナ・ネイティヴ Montana Victoria が第3コーナーで先頭に立ちましたが、後方から7番人気(15対1)の伏兵ルナ・タイム Luna Time が外から一気に進出、遅れて追い込む本命ジョイント・リターンに3馬身差を付ける完勝です。首差で早目先頭のモンタナ・ネイティヴが3着。
グレアム・モーション厩舎、フォレスト・ボイス騎乗のルナ・タイムは、これがG戦はもちろんステークスも初勝利となる4歳馬。前走は2月のローレル一般ステークス(メリーランド・レーシング・メディア・ステークス)3着で、今回が今期2戦目。通算成績は9戦4勝となりました。
次はベルモント・パーク競馬場からベッド・オー・ロージス・ハンデキャップ Bed O’Roses H (GⅢ、4歳上牝、7ハロン)。3頭の取り消しがあり5頭立て。前走5月2日にGⅠのフマーナ・ディスタッフで去年のチャンピオン・スプリンター、ジュディー・ザ・ビューティー Judy the Beauty を首差で破って優勝したデーム・ドロシー Dame Dorothy が3対5の断然1番人気。
逃げると思われていた2番人気(8対5)のルーム・フォー・ミー Room for Me がスタートで出遅れたこともあり、デーム・ドロシーが最初から主導権を取っての逃げ。直線では2番手を追走していた3番人気(9対2)のストリート・ストーリー Street Story に外から並ばれ、一旦は交わされながらも内ラチ沿いに差し返し、ストリート・ストーリーを1馬身半差抑えて人気に応えました。後方2番手から伸びた4番人気(14対1)のエクスプレッション Expression が6馬身差の3着に入り、ルーム・フォー・ミーは出遅れが祟って4着。
トッド・プレッチャー厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のデーム・ドロシーは、これで今期2戦2勝でG戦も連勝。7ハロンは4戦全勝で、通算成績も9戦7勝。今年のスプリント・チャンピオンの有力候補に上がってきました。
最後はサンタ・アニタ競馬場のサマータイム・オークス Summertime Oaks (GⅡ、3歳牝、8.5ハロン)。4頭が取り消して6頭立てとなりましたが、出走馬中唯一のG戦勝馬で、しかもサンタ・アニタ・オークス(GⅠ)馬のステラー・ウインド Stellar Wind がトップ・ハンデの123ポンド(他馬より5ポンド重い)を背負いながらも2対5の圧倒的1番人気。
先ず5番人気(18対1)のコンケスト・カールガール Conquest Curlgirl が逃げ、ステラー・ウインドは3~4番手で待機。第4コーナー手前で2番手を進んだ2番人気(9対2)のタラズ・タンゴ Tara’s Tango とステラー・ウインドがスパートし、3頭が一戦で直線へ。3頭の争いから先ず最内のコンケスト・カールガールが脱落し、直線半ばからは2頭の叩き合い。最後は外のステラー・ウインドが懸命に食い下がるタラズ・タンゴをハナ差ながら抑えて期待に応えました。3馬身4分の1差が開いてコンケスト・カールガールが3着。
ジョン・サドラー厩舎、ヴィクター・エスピノザ騎乗のステラー・ウインドは、サンタ・イザベル・ステークス(GⅢ)とサンタ・アニタ・オークに勝ち、カリフォルニア代表の形でケンタッキー・オークスに参戦。1番人気に支持されながらもスムーズな競馬が出来ずに4着に終わっていました。今回は地元に戻ってのGⅡ戦、ここは負けられない一戦でした。
最近のコメント