3歳馬強し!

愛ダービーが行われる6月最終週のカラー競馬場は、翌日の日曜日もG戦4鞍の豪華版で、昨日も3歳と古馬の牝馬対決GⅠ戦が話題でした。馬場は good 、レース順に取り上げます。

先ずはインターナショナル・ステークス International S (GⅢ、3歳上、1マイル2ハロン)ですが、何と3頭立て。日本なら競馬が成立しませんが、ヨーロッパでは良くあること。私が1975年にダービー観戦に出かけた時も、2頭立てのレースを目前で見たことがあります。
2歳時にデューハースト・ステークス(GⅠ)に勝ったこともある歴戦の古馬パリッシュ・ホール Parish Hall が出てきましたが、8対15の1番人気は同じ6歳でも未だ余りレースに使われていないエア・パイロット Air Pilot の方。パリッシュ・ホールは2対1の2番人気で、興味はどちらが勝つかだけ。

レースは至ってシンプル。スタートが切られた順で決着し、エア・パイロットが2番手を追走したパリッシュ・ホールに1馬身4分の1差を付けて逃げ切り勝ち。もう1頭走っていた馬は4歳馬のロヘリン Roheryn で、9対1のオッズ。人気2頭の後を付いて回り、5馬身半差でレースを終えています。
エア・パイロットはレイフ・ベケット厩舎で、今回はライアン・ムーアが乗っていました。4歳まではフランスの厩舎に所属していましたが、ほとんどレースに使われないまま5歳になってベケット師の管理下に入り、去年は6戦してニューマーケットのリステッド戦(ジェームズ・セイマー・ステークス、10ハロン)など3勝。今期初戦チェスターのGⅢ戦(ハックスレー・ステークス)で3着し、これがシーズン2戦目でのG戦初勝利でした。

続いては、2歳牝馬によるシーズン最初のG戦となるグランジソン・スタッド・ステークス Grangecon Stud S (GⅢ、2歳牝、6ハロン)。1頭が取り消して6頭立て。11対8の1番人気に選ばれたのは、前走ネイヴァン競馬場で未勝利を脱した2戦1勝のモースト・ビューティフル Most Beautiful
2戦2勝の無敗馬ながら4番人気(7対1)のミス・エリザベス Miss Elizabeth が逃げ、モースト・ビューティフルは2番手。人気通り逃げ馬を捉えると、3番手追走の5番人気(9対1)オンリー・マイン Only Mine に4分の3差を付ける順当勝ちで期待に応えました。首差でミス・エリザベスが3着。

これで3戦2勝としたモースト・ビューティフルは、デヴィッド・ウォッチマン師の管理馬で、1000ギニーのレガティッシモと同じライアン・ムーアのコンビ。ナースのデビュー戦こそ4着でしたが、上記ネイヴァンで初勝利。この時の2着馬がロイヤル・アスコットでノーフォーク・ステークス(GⅡ)に勝ったウォータールー・ブリッジ Waterloo Bridge で、それが人気の要因でもありました。

そして注目のプリティー・ポリー・ステークス Pretty Polly S (GⅠ、3歳上牝、1マイル2ハロン)。今年初めて一線級の古馬牝馬とクラシック世代が対決するGⅠ戦で、クラシック世代からは4頭、古馬は5頭の合計9頭が出走してきました。
何とクラシック世代からは英1000ギニーのレガティッシモ Legatissimo と、愛1000ギニーのプレイスコック Pleascach の2頭も。プレイスコックは前日の愛ダービーにも登録がありましたが、結局距離が2ハロン短いこちらを選んできました。言わば英愛ギニー対決で、人気はレガティッシモが6対4で1番人気、プレイスコックは9対2の2番人気で続きます。一方、古馬では無敗の4歳馬ブローチ Brooch が5対1の3番人気。

レースは本命馬と同じ3歳馬でジョイント4番人気(8対1)のダイアモンズアンドルビーズ Diamondsandrubies が逃げ、ムーア騎乗のレガティッシモは4番手、プレイスコックは後方2番手に待機する展開。しかしハナを切ったのは唯の逃げ馬ではなく、レガティッシモと後方から追い込むジョイント4番人気の古馬リボンズ Ribbons が懸命に差を詰めたものの、最後はレガティッシモに短頭差、リボンズには更に首差を付けての逃げ切り勝ちを演じました。プレイスコックの末脚は不発で、今回は5着に終わっています。ここまで無敗で来たブローチも7着と初黒星。
勝ったダイアモンズアンドルビーズは、エイダン・オブライエン厩舎、シーミー・ヘファーナン騎乗。前走オークスは4着でしたが、道中他馬と接触する大きな不利があってのもの。オブライエン師はそれが無ければ勝てた筈と言明していただけに、今回は実力通りの競馬と誇らしげ。オークス2着のレガティッシモにも雪辱を果たしました。この後は翌々週のアイルランド・オークスが目標、最後のチャンスにクラシック制覇の望みを託します。

日曜日最後のG戦は、長距離のカラー・カップ Curragh Cup (GⅢ、3歳上、1マイル6ハロン)。1頭が取り消して6頭立て。前走ロイヤル・アスコットのゴールド・カップで本命に推されながら3着、初頃星を喫したフォーゴットゥン・ルールズ Forgotten Rules が8対13の断然1番人気。
そのフォーゴットゥン・ルールズがここでは負けられない、とばかりに逃げ作戦に出ましたが、2番手を追走していた4番人気(7対1)で3歳馬のボンダイ・ビーチ Bondi Beach がこれを捉え、更には3番手追走の2番人気(4対1)で同じく3歳馬のオーダー・オブ・セント・ジョージ Order Of St George との一騎打ち。最後は短頭差でボンダイ・ビーチが3歳馬対決を制しました。6馬身半の大差が付いて5番人気(25対1)のドリフティング・ミスト Drifting Mist が3着に入り、フォーゴットゥン・ルールズはまさかの4着敗退。

1・2着は共にエイダン・オブライエン厩舎の馬で、勝馬にはダイアモンズアンドルビーズと同じシーミー・ヘファーナンが、2着馬にはライアン・ムーアが騎乗していました。ボンダイ・ビーチは未だこれが3戦目。3歳デビュー勝ちと、前走リステッド戦2着も共にレパーズタウンの12ハロンでのもので、最初から長距離馬としての使命を背負っています。前走で敗れた相手は、愛ダービーに無敗で挑戦(8頭立て8着)したラダンプール Radanpour でした。
2頭は共にセントレジャーが目標。ブックメーカーは2頭に夫々12対1、14対1のオッズを出しています。勝ったボンダイ・ビーチはセントレジャー直行、2着のオーダー・オブ・セント・ジョージはもう1戦、トライアルを使ってからドンカスターに向かうとオブライエン師が明言していました。

後半二つのG戦は何れも世代対決でしたが、結果は3歳馬たちの圧勝。どうも今年の3歳は牡牝共にレヴェルが高いようです。

 

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