2015ジュライ・ミーティング初日

7月9日から11日までの3日間、毎夏恒例ニューマーケット競馬場のジュライ・ミーティングが開催されます。ギニーが行われるコース(ロウリー・マイル)とは異なるジュライ・コースが使われる開催、メインは最終日の短距離決戦ジュライ・カップであることも例年通り。
その初日の昨日は、いつもの年と同じくG戦3鞍、第1レースからいきなり3レース続けて行われるのが日本の感覚とは違う所でしょう。

馬場は散水を施しても good to firm と夏らしいコース、その幕開けは今年もバーレーン・トロフィー Bahrain Trophy (GⅢ、3歳、1マイル5ハロン)。2頭が取り消して5頭立て。今年絶好調のジョン・ゴスデン厩舎が最近4年間で3勝しているレースで、今年も前走ロイヤル・アスコットでエドワード7世ステークス(GⅡ)2着だったミスター・シン Mr Singh が11対10の1番人気。
そのミスター・シンがスタートから先手を取り、最後は再び加速する余裕で逃げ切り勝ち。2馬身半差の2着には3番手を追走していた3番人気(13対2)のフューチャー・エンパイア Future Empire が流れ込みました。最後方を進んだ最低人気(12対1)のトミー・ドック Tommy Docc が1馬身4分の1差で3着。

今年も勝利のゴスデン師、このレースは5勝目。騎乗したフランキー・デットーリは何と7勝目と相性の良いレースで、ゴスデン/デットーリはダービー・仏オークスに続いてまたスター・ホースを誕生させたようです。
ステイヤーとしての素質が開花しつつあるミスター・シン、セントレジャーの有力候補に上がり、オッズもレース前の14対1から8対1に上がりました。陣営はそのままセントレジャーに直行し、今期は最後のクラシックで終戦とする由。ゴスデン師はこのローテーションで、2011年にマスケッド・マーヴェル Masked Marvel でセントレジャーを制しています。ミスター・シンは古馬で才能が全開するタイプ、本当の活躍の舞台は来年以降になるでしょう。

続いては伝統ある2歳戦のジュライ・ステークス July S (GⅡ、2歳牡せん、6ハロン)。9頭が出走してきましたが、確たる中心は不在、3頭が9対2の1番人気に並びました。何れも先のロイヤル・アスコットで好走した馬たちで、コヴェントリー・ステークス(GⅡ)3着のエルテザム Eltezam 、ウインザー・キャッスル・ステークス(リステッド戦)の2・3着馬アリーン Areen とステディー・ペース Steady Pace 。2歳戦、そしてこのレースにも強いリチャード・ハノン厩舎は2頭を出走させ、エルテザムはその1頭。
デットーリが選んだエルテザムが逃げましたが、同じ勝負服(アル・シャカブ)でブービー人気(14対1)の伏兵シャラー Shalaa が残り1ハロンで抜けると、最後はスタンドから遠いラチ沿いに寄れながらも、人気の一角ステディー・ペースに1馬身差を付ける逆転勝ち。更に2馬身差で4番人気(11対2)のエルロナク Elronaq が3着に入り、エルテザムは4着、アリーンも6着に終わりました。

勝ったシャラーはまたもジョン・ゴスデン厩舎で、師はいきなりのダブル達成、こちらはロブ・ハヴリンが騎乗していました。ニューバリーのデビュー戦は8頭立ての最下位に敗れましたが、未だ競馬そのものが判らない若馬、続くニューマーケットの6ハロン戦で初勝利を挙げたばかり。その時はデットーリが騎乗していましたが、今回はオーナーの関係からデットーリはエルテザムに騎乗。ここでは普段の調教で騎乗しているハヴリンに大役が回ってきたわけ。
シャラーの次走はグッドウッドのリッチモンド・ステークスになる予定で、来年の2000ギニーには20対1から25対1のオッズが出されました。

3歳戦、2歳戦と続き、初日の3鞍目は古馬によるプリンセス・オブ・ウェールズ・ステークス Princess of Wales’s S (GⅡ、3歳上、1マイル4ハロン)。3歳上の条件ながら3歳馬の参戦は無く、8頭の古馬が出走してきました。5対2の1番人気に支持された4歳のマーソーブ Mahsoob は、ここまで4戦無敗ながらG戦は初挑戦。格上で通用するかが見所でしょう。
レースは最低人気(25対1)のビッグ・オレンジ Big Orange が逃げ、マーソーブは後方から。3番手を進んだ2番人気(10対3)のゴスペール・コール Gospel Choir が逃げ馬を捉えて先頭に立ったのも束の間、良いペースで先行していたビッグ・オレンジがギアを入れ直すと再加速、3番人気(4対1)のセカンド・ステップ Second Step を半馬身抑えるサプライズです。頭差でゴスペル・コールが3着、マーソーブは6着に沈んでしまいました。セカンド・ステップは前走ジョッキー・クラブ・ステークス(GⅡ)勝ちのペナルティー3ポンドを背負っていたことが、最後の半馬身に響いたかもしれません。

いずれにしてもマイケル・ベル厩舎、ジェイミー・スペンサー騎乗のビッグ・オレンジは、これがG戦初勝利。去年3歳時にはチェスターとアスコットのリステッド戦に連勝しており、以来何度かG戦に挑むもクラスの壁に跳ね返されてきた4歳馬です。今期初戦のオーモンド・ステークス(GⅢ)は4着、前走ヨークのリステッド戦も7着と奮わなかったために人気の盲点になっていたのでしょう。
次はグッドウッド・カップを狙いたいステイヤーですが、この勝利でGⅡ勝ちのペナルティーは必至。何れはメルボルン・カップ挑戦と言う夢もある陣営ですが、一旦計画を見直す必要もありそうです。

 

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください