東西の2歳牝馬GⅠ戦、強いのはどっちだ!!

3連休がスタートしたアメリカ、その初日のG戦はサラトガ、モンマス、デル・マーの合計6鞍。夏競馬の最終週とあって2歳馬のGⅠ戦が続きます。

最初はサラトガ競馬場から4鞍。先ずサラナック・ステークス Saranac S (芝GⅢ、3歳、9ハロン)は firm の芝コースに8頭が出走し、前走ホール・オブ・フェイム・ステークス(芝GⅡ)を制したテイクオーヴァ―・ターゲット Takeover Target が8対5の1番人気。
3番人気(9対2)のノンナズ・ボーイ Nonna’s Boy が逃げ、テイクオーヴァ―・ターゲットは5番手待機。4番手を進んだ6番人気(13対1)のマネー・マルティプライアー Money Multiplier が抜け出して先頭に立って逃げ込みを図るところ、前半は後方2番手に待機した5番人気(8対1)のワールド・アプルーヴァル World Approval が最内を衝いて急襲し、マネー・マルティプライアーを頭差で差し切る波乱。1馬身4分の1差で2番人気(2対1)のゴー・アラウンド Go Arround が最後方から外を回って3着に追い込み、テイクオーヴァ―・ターゲットは6着敗退。
マーク・カッセ厩舎、ジョエル・ロザリオ騎乗のワールド・アプルーヴァルは、7月にアーリントンのアメリカン・ダービー(芝GⅢ)に勝ったのに続く二つ目のG戦勝利。前走のホール・オブ・フェイム・ステークスではテイクオーヴァ―・ターゲットの4着に敗れており、ここで雪辱を果たしました。これで9戦4勝3着2回となるせん馬。

続いてはサラトガの2歳牝馬総決算となるスピナウェイ・ステークス Spinaway S (GⅠ、2歳牝、7ハロン)。勝馬にはBCジュヴェナイル・フィリーズへの優先出走権が与えられます。fast の馬場に6頭が出走し、噂の評判馬レーチェルズ・ヴァレンティーナ Rachel’s Valentina が8対5の1番人気。
レースは3番人気(9対2)のトナサー Tonasah の逃げで始まり、レーチェルズ・ヴァレンティーナは3番手から。直線、先行する2頭を外から交わした本命馬、最後方から追い込む2番人気(2対1)のタップ・トゥー・イット Tap to It に1馬身差を付けて人気に応えました。3馬身4分の1差で2番手を進んだ4番人気(5対1)のコンステレーション Constellation が3着。
トッド・プレッチャー厩舎、ジョン・ヴェラスケス騎乗のレーチェルズ・ヴァレンティーナは、その名前から想像できるように、女傑レーチェル・アレキサンドラ Rachel Alexandra の娘。6年前に母が牡馬を蹴散らして快勝したウッドワード・ステークスと同じ日のGⅠを勝って見せました。8月2日にサラトガのデビュー戦を2馬身差で勝ち、これで無傷のままGⅠ制覇。もちろん今年はBCが目標ですが、その前にベルモントのフリゼッテ・ステークスか、キーンランドのアルシバイアディーズ・ステークスを叩いて本番と言うスケジュールになるでしょう。

そして3つ目は、レーチェル・アレキサンドラも勝馬リストに名を連ねる ウッドワード・ステークス Woodward S (GⅠ、3歳上、9ハロン)。8頭が出走し、前走ホイットニー・ステークス(GⅠ)2着で惜しくもGⅠ勝ちを逃したリーアムズ・マップ Liam’s Map が6対5の1番人気。
前走同様スタートから飛ばしたリーアムズ・マップ、今回は余裕を残したまま直線に入ると後続を寄せ付けず、3番手から伸びた5番人気(9対1)のコーチ・インジ Coach Inge に4馬身4分の3差を付けて念願のGⅠ初制覇(G戦そのものも初勝利)を果たしました。トッド・プレッチャー厩舎のワン・ツー・フィニッシュでもあります。更に1馬身半差で3番人気(5対1)のウィッケド・ストロング Wicked Strong が3着。
こちらはハヴィエル・カステラノが騎乗したリーアムズ・マップ、これが今期3戦目で、ステークスは去年3歳時のハーランズ・ホリデー・ステークス(一般ステークス、ガルフストリームの8.5ハロン)に続く2勝目。通算成績は7戦5勝2着2回と未だキャリアの浅い4歳牡馬で、本格化するのはこれからでしょう。

サラトガの最後は長距離のグレンズ・フォールズ・ハンデキャップ Glens Falls H (芝GⅢ、3歳上牝、11ハロン)。9頭が出走し、前走ウェイア・ステークス(芝GⅢ)を含めて3連勝中のゴールディー・エスポニー Goldy Espony が8対5の1番人気。
そのゴールディー・エスポニーがダッシュ良く飛び出しましたが、最初のスタンド前では5番人気(9対1)のマクシモヴァ Maximova がハナを主張して先頭に立ち、向正面では後続に4馬身差を付ける大逃げ。ゴールディー・エスポニーは3番手に控えましたが伸びを欠き、替って内ラチ沿いから馬群を割るように抜けたのが4番手を進んだ同じ5番人気(9対1)のホワイト・ローズ White Rose 、5番手から追い上げる3番人気(5対1)イースタン・ベル Eastern Belle に4分の3馬身差を付けての快勝です。1馬身4分の1差で2番人気(4対1)のルガルデ Regardez が3着に追い込み、ゴールディー・エスポニーはまさかの最下位敗退。
ウイリアム・モット厩舎、シャウン・ブリッジモハーン騎乗のホワイト・ローズは、前走ウェイア・ステークスではゴールディー・エスポニーの3着だった馬。これが今期6戦目(G戦は5戦目)でのG戦初勝利です。一昨年のこのレース(雨のためダート・コースに変更)で2着したこともあり、勝時計2分11秒46はコース・レコードというオマケ付でもありました(レース数の少ないコースだけに、レコードが出易いとも言えますが)。

次にモンマス・パーク競馬場のボイリング・スプリングス・ステークス Boiling Springs S (芝GⅢ、3歳牝、9ハロン)を紹介しましょう。firm の馬場に2頭が取り消して8頭立て。ベルモント・オークス(芝GⅠ)で4着、レイク・プラシッド・ステークス(芝GⅡ)でも3着と好走してきたストリクト・コンプライアンス Strict Compliance が3対2の1番人気。
レースは5番人気(6対1)のイザベラ・シングス Isabella Sings が快調に逃げましたが、前半6番手で待機したストリクト・コンプライアンスが直線で外から猛追、ゴール寸前でイザベラ・シングスをハナ差捉えて勝利をもぎ取りました。3馬身差で3番人気(4対1)のパイン・ニードルス Pins Needles が3着。
チャド・ブラウン厩舎、ジョー・ブラーヴォ騎乗のストリクト・コンプライアンスは、3歳初戦のガルフストリームで初勝利を挙げ、続くキーンランドのアローワンス戦、5月には一般ステークス(ピン・オーク・ステークス)と3連勝。そのあとG戦で2戦続けて掲示板に載り、目出度くG戦初勝利を飾りました。通算成績も7戦4勝2着1回3着1回と堅実。

土曜日最後は、デル・マー競馬場のデル・マー・デビュタント・ステークス Del Mar Debutante S (GⅠ、2歳牝、7ハロン)。デル・マー夏開催の2歳牝馬総決算となるGⅠ戦です。1頭が取り消して10頭立て。トライアルとなるソレント・ステークス(GⅡ)を制したプリティー・エヌ・クール Pretty N Cool も駒を進めてきましたが2番人気(2対1)。これを抑えてイーヴンの1番人気に支持されたのはデビュー勝ちしたばかりのソングバード Songbird でした。
大外枠からスタートした本命ソングバードがハナに立ちましたが、直ぐにプリティー・エヌ・クールが先頭を奪い返しての逃げ、ソングバードも直後でマークし、最初から2頭のマッチレース。第3コーナーの手前でライヴァルに外から並び掛けたソングバード、直線ではプリティー・エヌ・クールを5馬身4分の1差突き放して圧巻のパフォーマンスを繰り出しました。ややバテたプリティー・エヌ・クールに6番手から6番人気(29対1)のランド・オーヴァー・シー Land Over Sea が詰め寄りましたが、4分の3馬身及ばず3着まで。
ジェリー・ホーレンドルファー厩舎、マイク・スミス騎乗のソングバードは、7月26日にデル・マーでデビューし、2着に6馬身半差を付ける圧勝。2戦2勝でGⅠ勝馬となります。

昨日は東西で2歳牝馬のGⅠ戦が行われましたが、東の血統馬レーチェルズ・ヴァレンティーナが強いか、西の圧勝馬ソングバードが速いか、早くも来年のクラシックに向け、2頭のライヴァルが出現した印象です。

 

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