アイム・ア・チャッターボックス、遂にGⅠ獲り

今週のアメリカも地味ながら8鞍ものG戦が組まれていて目移りがします。久し振りにローレル競馬場の芝コースにG戦が戻ってきたのも注目でしょうか。

結果が入ってきたものから順に紹介すると、最初のベルモント競馬場はG戦1鞍のみ。ノーブル・ダムゼル・ステークス Noble Damsel S (芝GⅢ、3歳上牝、8ハロン)は firm の芝コースに9頭が出走し、去年のジャスト・ア・ゲーム・ステークス(芝GⅠ)でGⅠ馬になったコーヒー・クリック Coffee Clique が2対1の1番人気。
最低人気(40対1)のミス・フロスト Miss Frost が逃げ、コーヒー・クリックは内枠スタートから先ず2番手。しかし後続から前を窺う馬が次々と先行馬群に取り付き、4~5番手を進んだ5番人気(6対1)のレセプタ Recepta が外から前を捉えると、更に外を回った2番人気(5対2)のレディー・ララ Lady Lara との叩き合い。一歩先んじたレセプタがレディー・ララを半馬身抑えて勝ち、更に半馬身差で後方から追い込んだ4番人気(5対1)のクロウリーズ・ロウ Crowley’s Law が3着。順位を下げながらも最後は内を衝いたコーヒー・クリックは4着に終わりました。
ジェームス・トーナー厩舎、今回が初コンビとなるエルヴィス・トルヒーヨ騎乗のレセプタは、これがG戦初勝利となる4歳馬。前走サラトガで牝馬限定の一般芝ステークス(ド・ラ・ローズ・ステークス)に続く連勝です。

次はパークス・レーシング競馬場に行きましょう。ここはGⅠ戦を含む3鞍のG戦です。最初のギャラント・ボブ・ステークス Gallant Bob S (GⅢ、3歳、6ハロン)は fast の馬場に1頭が取り消して7頭立て。前走キングズ・ビショップ・ステークス(GⅠ)で2着のリムジン・リベラル Limousine Liberal が4対5の1番人気。
ハナを切ったのはジョイント5番人気(13対1)のトラブル・キッド Trouble Kid 、本命馬もこれを2番手で追走しましたが、トラブル・キッドは外から追い縋るリムジン・リベラルに首差を付ける堂々の逃げ切り勝ち。半馬身差で内を衝いたジョイント5番人気のベイヤード Bayerd が3着に追い込みました。
ラモン・プレシアード厩舎、ジョシュア・ナヴァロ騎乗のトラブル・キッドは、4戦目で初勝利を挙げてからは3連勝。7月のクレーミング戦に勝って現在のオーナーの手に渡り、これがG戦はつしょうりとなるせん馬です。

次がこの日唯一のGⅠ戦でもあるコーティリオン・ステークス Cotillion S (GⅠ、3歳牝、8.5ハロン)。ここも1頭が取り消して10頭立て。GⅠクラスの馬が揃う好メンバーで、前走アラバマ・ステークス(GⅠ)は不利があって2着に敗れていたアイム・チャッターボックス I’a a Chatterbox が2対1の1番人気。
レースは6番人気(22対1)のカラミティー・ケイト Calamity Kate が巧く逃げましたが、4番手で待機したアイム・ア・チャッターボックスが外からこれを捉え、そのまま2馬身差を付けて人気に応えました。2馬身4分の1差で3番人気(6対1)のGⅠ馬ピース・アンド・ウォー Peace and War が3着に入り、アラバマの覇者エンべリッシュ・ザ・レース Embelish the Lace は5着、去年の2歳牝馬チャンピオンのテイク・チャージ・ブランディ Take Charge Brandi も最下位に敗退。
ラリー・ジョーンズ厩舎、フロラン・ジェルー騎乗のアイム・ア・チャッターボックスは、これが今期6戦目(内5レースはG戦)で4着以下無し。CCAオークス(GⅠ)は実質1着で入線しましたが、進路妨害で2着。ここ2戦はGⅠ戦での惜しい2着が続いており、ここで念願のGⅠ奪取となりました。レーチェル・アレキサンドラ・ステークス(GⅢ)、フェア・グラウンズ・オークス(GⅡ)に続くG戦3勝目で、ケンタッキー・オークス3着馬でもあります。ジョーンズ師はBCディスタッフに向かうことを明言しました。

パークス・レーシングの最後はペンシルヴァニア・ダービー Pennsylvania Derby (GⅡ、3歳、9ハロン)。1頭が取り消して9頭立て、前走トラヴァース・ステークス(GⅠ)ではキーン・アイス Keen Ice 、アメリカン・フェイロー American Pharoah に続き3着となったフロステッド Frosted がイーヴンの1番人気。
レースは外からミスター・ズィー Mr. Z が先頭に立ち、前半は控えたフロステッドが徐々に順位を上げる展開。直線、先に抜けた5番人気(10対1)のアイアン・フィスト Iron Fist とミスター・ズィーを外から纏めて交わしたフロステッド、そのままアイアン・フィストに2馬身差を付ける完勝。8馬身差の3着には7番人気(15対1)の伏兵トミー・マチョ Tommy Macho が入りました。
キアラン・マクローリン厩舎、ジョエル・ロザリオ騎乗のフロステッドは、これで4連敗に終止符を打っています。4連敗と言っても、ウッド・メモリアル・ステークス(GⅠ)に勝っあとケンタッキー・ダービー4着、ベルモント・ステークス2着、ジム・ダンディー・ステークス(GⅡ)2着、そしてトラヴァースですから、負けても決してマイナスのイメージになるような内容ではありません。マクローリン師もBCクラシック挑戦を宣言しました。

ここでローレル・パーク競馬場からG戦2鞍を紹介しましょう。共に芝コースのGⅡ戦ですが、今年から新たにG戦リストに加わったもので、かつてはローレル・インターナショナルが行われたこの競馬場の芝コースでG戦が行われるのは久し振りのことでしょう。
先ずコモンウェルス・カップ Commonwealth Cup (芝GⅡ、3歳上、9ハロン)はコロニアル・ダウンズのコロニアル・ターフ・カップがこちらに移設されたということですが、詳細は調べが付いていません。それはともあれ、firm の馬場に7頭が出走し、2013年のカナダの年度代表馬アップ・ウィズ・ザ・バーズ Up With the Birds が9対5の1番人気だったのは昔のローレル国際のよう。
5番人気(5対1)のカット・トゥー・オーダー Cut to Order が逃げましたが、3番手を追走した2番人気(2対1)のミスター・スピーカー Mr Speaker が前の2頭を外から捉え、2番手から粘る3番人気(5対2)のレジェンダリー Legendary に1馬身4分の1差を付けて快勝。2馬身半差で5番人気(18対1)の伏兵エル・ジェフ・グランデ El Jefe Grande が3着に飛び込み、アップ・ウィズ・ザ・バーズは4着敗退でした。
クロード・マゴーヒー厩舎、ホセ・オルティス騎乗のミスター・スピーカーは、去年のベルモント・ダービー(芝GⅠ)以来のG戦勝利。それ以来G戦に4戦していましたが勝てず、ベルモントのアローワンス戦勝ちしたのみで、前走カナダのスカイ・クラシック・ステークス(カナダ芝GⅡ)も4着に終わっていた4歳馬です。

ローレルのもう一鞍も芝のコモンウェルス・ダービー Commonwealth Derby (芝GⅡ、3歳、9ハロン)。このレースの前身は不明で、新設のG戦と考えて良いのかも知れません。ここも1頭が取り消しての7頭立て。全馬のオッズが判らないので想像ですが、2対5の断然1番人気にはベルモント・ダービー(芝GⅠ)馬のフォース・ザ・パス Force the Pass が選ばれていた模様。
レースは35対1(少なくとも5番人気以下)の伏兵ワン・ゴー・オール・ゴー One Go All Go が逃げ、終始後続とは2馬身差。直線、恐らく3番人気(9対2)のファンダメンタル Fundamental が追い込みましたが、着差は1馬身まで詰めるのがやっとの逃げ切り勝ち。頭差で人気のフォース・ザ・パスは3着に終わっています。
馬共々G戦が初勝利となるパーヴェル・マテジカ Pavel Matejka (読み方が判りませんが、名前から見てチェコ出身でしょうか)厩舎、ロナルド・ヒスビー騎乗のワン・オール・ゴー、去年8月にデビュー戦で勝って以来の勝鞍で、前走はインディアナのアローワンス戦で1着入線ながら2着に降着していました。G戦の経験は去年のアーリントン=ワシントン・フューチュリティー(GⅢ)3着以来の2度目だそうで、芝コースの合うタイプだそうです。

続いてチャールズ・タウン競馬場の夕暮れ開催から、去年からGⅢに格上げされたチャールズ・タウン・オークス Charles Town Oaks (GⅢ、3歳牝、7ハロン)。6頭が出走し、今シーズン既にステークスに3勝しているセーラ・シス Sarah Sis が3対2の1番人気。
5番人気(7対1)のホット・シティー・ガール Hot City Girl が逃げ、セーラ・シスは3番手を追走していましたが何故か精彩を欠き、そのままホット・シティー・ガールの逃げ切り勝ち。2馬身半差の2着にも4番人気(5対1)のテンパー・ミント・パッティー Temper Mint Patty が食い込み、ハナ差3着には最低人気(40対1)のトゥッツィー・ルールズ Toutsie Rules が2番手を粘り切るという大波乱でした。人気のセーラ・シスは最下位6着に敗退し、2・3番人気の馬も夫々5着・4着と散々な結果です。
リンダ・ライス厩舎、ローレルから飛んでの騎乗となったホセ・オルティズ騎乗のホット・シティー・ガールは、これで8戦3勝2着2回となり、もちろんG戦は初勝利。2歳の時にはアケダクトで条件ステークスに2着、今期もローレルの一般ステークスで2着、前走マザー・グース・ステークス(GⅠ)でG戦デビューして5着という経験がありました。半姉にディスタッフ・ハンデを連覇したラ・ヴェルダット La Verdad がいる血統で、更に成長が見込まれそうです。

最後にチャーチル・ダウンズ競馬場のナイター競馬から、ドッグウッド・ステークス Dogwood S (GⅢ、3歳牝、7ハロン)。fast の馬場に12頭と揃い、これが未だ4戦目でステークス初挑戦ながら大差で2勝しているスーパー・マジェスティー Super Majesty がイーヴンの圧倒的1番人気。
そのスーパー・マジェスティーが評判通りのスピードで先頭に立ち、後方3番手から追い込む3番人気(5対1)のチャイド Chide に1馬身4分の3差を付けて見事期待に応えました。首差で7番人気(31対1)のスイート・スインギン Sweet Swingin が後方4番手から追い込んで3着。
ジェリー・ホーレンドルファー厩舎、アレックス・ソリス騎乗のスーパー・マジェスティーは、5月のサンタ・アニタ・デビューは6馬身4分の1、2戦目のロス・アラミトスでのアローワンス戦では15馬身4分の1差で大勝しており、前走デル・マーのアローワンス戦2着が唯一の敗戦。今回は追加登録料を支払い、南カリフォルニアから遠征してきたことでも、陣営の期待の大きさが判るでしょう。

 

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