2015年ドンカスター・セントレジャー開催4日目

土曜日のドンカスター競馬場、セントレジャー・フェスティヴァルの最終日はもちろんメインがセント・レジャー・ステークス St Leger S (GⅠ、3歳牡牝、1マイル6ハロン132ヤード)で、千穐楽のG戦は3鞍。メインはG戦の最後に行われましたが、先ずクラシック・レースからレポートして行きましょう。

結果を先に言えば、後味の悪い幕切れになってしまいました。相変わらず雨が続いていることもあり、馬場は good 、所により good to soft と重い馬場、事前に紹介した枠順の中からオーダー・オブ・セント・ジョージ Order of St George が取り消して、最終的には7頭立てのクラシックになってしまいます。
1番人気(2対1)には2頭が並ぶことになり、ダービー3着、愛ダービー2着で最も戴冠に近いストーム・ザ・スターズ Storm the Stars と、グレート・ヴォルティジュールで不利がありながら2着だったボンダイ・ビーチ Bondi Beach

レースはオブライエン厩舎の副将格となった3番人気(10対3)のフィールズ・オブ・アゼンリー Fields of Athenry が逃げましたが、ペースメーカーではなく、展開次第では勝つ可能性を秘めた馬。これを5万ポンドを支払って追加登録した唯一の牝馬シンプル・ヴァーズ Simple Verse が追走して直線。
残り2ハロンで各馬一斉にスパートしましたが、シンプル・ヴァーズが右に進路を変え、外を追走していたボンダイ・ビーチにぶつけたためにオダナヒュー騎手が馬を一旦停止、抜け出したシンプル・ヴァーズを立て直して追い上げましたが、又も残り100メートルで牝馬がボンダイ・ビーチの進路に侵入し、再度オダナヒューが馬を引っ張るアクシデント。最後はシンプル・ヴァーズがボンダイ・ビーチに頭差を付けて先頭で入線しましたが、当然ながら審議になります。
長い審議の結果に出た裁決は、シンプル・ヴァーズがボンダイ・ビーチの進路を妨害したと判断され、1・2着が入れ替わります。1馬身4分の3差で逃げたフィールズ・オブ・アゼンリーが3着に粘り、ストーム・ザ・スターズはハナ差の4着。

審議では特に最初の接触が問題となり、これが失格の対象だったようです。最後の接触はあくまでもアクシデント、というのが裁決の判断だった由。ヘファーナン騎手はルール・ブックに規定された失格条項には全てイエスと答えるしかなかった状況でしたが、シンプル・ヴァーズ陣営は納得していません。以前にも同じような状況でベケット厩舎の馬が不利を被りながら判定が覆らなかった事例があるからです。師の言い分は、ルールは別としても裁決に一貫性が無いということ。今回はクラシック・レースでもあり、裁決に対して異議申し立てをすると明言しました。実際、レース確定後の表彰式では、関係者にカップや記念品が行われる際に観衆からブーイングが起きるほどでした。
最終的な裁決は持ち越しとなりますが、ドンカスター競馬場の時点ではボンダイ・ビーチが優勝、シンプル・ヴァーズは2着降着と言うことになります。シンプル・ヴァーズに騎乗したアンドレア・アトゼニ騎手は不注意騎乗で3日間の騎乗亭となりましたが、これは最初の進路変更に対するもの。また勝馬のカーム・オダナヒュー騎手にも2日間の騎乗亭処分が課せられましたが、こちらはムチの過剰使用に対するものです。

ボンダイ・ビーチを管理するエイダン・オブライエン師は、5度目のセントレジャー。未だこれが5戦目で、古馬になってからの長距離戦が本当の能力発揮の場となりそう。この日オブライエン師はレパーズタウン競馬場に立ち会っており、ドンカスターは不在。優勝を喜びながらも、2着陣営を気遣う発言を繰り返していました。

クラシックは以上にして、残る2鞍をレポートしておきます。
先ずシャンペン・ステークス Champagne S (GⅡ、2歳牡せん、7ハロン)は1頭が取り消して6頭立て。ニューマーケットの7ハロンで新馬勝ちしたばかりの評判馬エモーションレス Emotionless が8対13の断然1番人気。
2番人気(7対2)で前走ヴィンテージ・ステークス(GⅡ)2着のイブン・マリク Ibn Malik が逃げましたが、2番手を追走していたエモーションレスが残り1ハロンで先頭に立つと、イブン・マレクに3馬身半差を付ける楽勝。最後はジョッキーが馬を抑える余裕でした。更に7馬身の大差が付いて3番人気(7対1)のパラワン Palawan が3着。

勝ったエモーションレスはゴドルフィンの所有馬で、かねてから評判が高かった存在。管理するチャールズ・アップルビー師は、自身が管理した最高の2歳馬と断言しています。鞍上はウイリアム・ビュイック。スタミナ牝系を持つ血統ですが、師は今期は7ハロンに限定する意向で、次走はデューハースト・ステークスになるでしょう。2000ギニーのオッズは、レース前の16対1から一気に5対1に上がりました。目下の所2000ギニーの本命。

ドンカスター開催の最後はパーク・ステークス Park S (GⅡ、3歳上、7ハロン)。15頭と頭数が揃いましたが、やはり3歳馬でコモンウェルス・カップ(GⅠ)2着のリマートLimato が9対2の1番人気。
そのリマート、ゲート内では眠っていたようで、ゆっくりとスタートして最後方待機。2番人気(11対2)のホーム・オブ・ザ・ブレイヴ Home Of The Brave が逃げましたが眼中になく、前が開くと一気に抜け出して10番人気(20対1)の3歳馬マーカズ Markaz に3馬身4分の3差を付ける圧巻の差し切り勝ち。1馬身4分の1差で6番人気(10対1)の5歳馬ブレトン・ロック Breton Rock が3着。

ヘンリー・キャンディー厩舎、アンドレア・アトゼニ騎乗のリマートは、2歳時4戦4勝、今期も4戦2勝2着2回となって、次走はロンシャンのフォレ賞(GⅠ)となる予定。調教師も騎手もアメージングを連発し、アトゼニ騎手は同馬を「フェラーリに乗っているよう」と表現していました。

 

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