今年最後の2歳GⅠ戦

今週も師走とあってアメリカ競馬は静かなもの。12月19日の土曜日にフロリダとカリフォルニアで行われた夫々一鞍づつのG戦だけが全てです。

先ずガルフストリーム・パーク競馬場で行われたのが、第61回目を迎えたミスター・プロスペクター・ステークス Mr. Prospector S (GⅢ、3歳上、6ハロン)。fast の馬場に7頭立て。去年の勝馬スピーチファイ Speechfy と、一昨年の勝馬シングアナザーソング Singanothersong とが出走してきましたが、何れも最近の成績から人気にはならず、前者が5対1の3番人気、後者に至っては50対1の最低人気でした。そんな中で7対5の1番人気に支持されたのは、9月のヴォスバー・ステークス(GⅠ)で3着していたストールウォーキン・デュード Stallwalki’ Dude 。
各馬一斉のスタートから飛び出したのは、2番人気(2対1)のエックス・ワイ・ジェット X Y Jet 。これをシングアナザーソングが追走して、芦毛の2頭がレースを引っ張ります。しかしエックス・ワイ・ジェットのスピードは桁違い、後続に4馬身差を付けて3~4コーナーに入ると、第4コーナーでは更に8馬身差にリードを広げて直線。そのまま最後方から追い込む6番人気(17対1)のグランド・ショアーズ Grande Shores に9馬身4分の1差を付ける圧巻の逃げ切り勝ちでした。3着にも後方2番手から4番人気(6対1)のシー・ズィー C. Zee が追い込み、前を行った馬たちは総崩れ。人気のストールウォーキン・デュードは3番手追走も5着、スピーチファイが4着、シングアナザーソングも6着に終わっています。
ホルヘ・ナヴァロ厩舎、エミサエル・ジャラミロ騎乗のエックス・ワイ・ジェットは、出走馬中唯1頭の3歳馬で、これがステークス初勝利となるせん馬。モンマス・パークとガルフストリーム・パーク・ウエスト(旧カルダー競馬場)でアローワンス戦に勝っており、G戦では今春ハッチェソン・ステークス(GⅢ)で2着したことがありました。スウェイル・ステークス(GⅡ)で6着したあと軽度の骨折が見付かり、骨片を取り除く手術を経て復帰。6ハロン戦で持ち前のスピードを活かし、通算成績は12戦4勝2着5回3着1回となります。

そしてロス・アラミトス競馬場からはロス・アラミトス・フューチュリティー Los Alamitos Futurity (GⅠ、2歳、8.5ハロン)。一昨年までキャッシュコール・フューチュリティーとしてハリウッド・パークで行われてきた一戦で、これが今年最後の2歳GⅠ戦となります。7頭が出走し、このレースを7勝しているボブ・バファート師が送り出す2頭のうち、前走ケンタッキー・ジョッキー・クラブ・ステークス(GⅡ)を1番人気で2着したモー・スピリット Mor Spirit が3対5の1番人気。
レースは6番人気(25対1)のフランク・カンヴァセーション Frank Conversation が逃げましたが、2番手を進んだ2番人気(5対2)でバファート厩舎の副将格テーヴス・オン・ナイス Toews On Ice がこれを交わして先頭で直線。前半は6番手に控えていたモー・スピリットが直線では大外から追い上げ、寮馬に馬体を接するように内に切れ込むと、粘るテーヴス・オン・ナイスに1馬身4分の1差を付けて見事人気に応え、バファート師のワン・ツー・フィニッシュ達成です。6馬身の大差が付き、最低人気(25対1)のアイムオールレディーゼア I’malreadythere が3番手から流れ込んでの3着。
これでこのレース8勝目となるバファート厩舎、ゲーリー・スティーヴンス騎乗のモー・スピリットは、1マイルの新馬戦に続き2勝目。ケンタッキー・ダービーへの道10ポイントも獲得し、前走2着と合わせてポイント数は14になりました。このフューチュリティーはハリウッド時代からエー・ピー・インディー A.P.Indy 、スノー・チーフ Snow Chief 、ベスト・パル Best Pal 、リアル・クワイエット Real Quiet 、ポイント・ギヴン Point Given 、ルッキン・アット・ラッキー Lookin At Lucky 、シェアード・ビリーフ Shared Belief 、ドルトムント Dortmund など錚々たる勝馬を誕生させてきたレース。モー・スピリットも来年のクラシックに大きな期待が寄せられることでしょう。

 

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