良血馬のクラシック・トライアル

金曜日の英国競馬、サンダウン競馬場では今年最初となるG戦3鞍が行われました。馬場は good to soft 、所により good 。

先ずゴードン・リチャーズ・ステークス Gordon Richards S (GⅢ、4歳上、1マイル2ハロン7ヤード)。は7頭が出走し、去年の勝馬ウエスタン・ヒム Western Hymn が4対5の1番人気。去年はここに勝ってブリガディア・ジェラード・ステークス(GⅢ)を連勝、エクリプス・ステークス(GⅠ)3着でシーズンを締め括った同馬はやや格上という評価でしょう。前回のGⅢ勝から半年以上経過しているためペナルティーも無し。
去年と同じデットーリを背に好スタートを切ったウエスタン・ヒム、直後はハナに立つ勢いでしたが4番人気(10対1)のアワ・チャンネル Our Channel に譲って2番手に控えます。残り2ハロン、予定通り先頭に立ったウエスタン・ヒムでしたが、前半最後方から徐々に順位を上げていた3番人気(8対1)のマイ・ドリーム・ボート My Dream Boat が良い手応えで本命馬に迫り、最後は1馬身4分の1差を付けて見事なタイミングでの差し切り勝ち。同じく1馬身4分の1差で3番手を進んでいたアイラッド Ayrad がそのまま3着を維持していました。

クライヴ・コックス厩舎、アダム・カービーが騎乗したマイ・ドリーム・ボートは、去年11月にフランスでパース賞(GⅢ、7ハロン)に勝っていたため3ポンドのペナルティーを背負っていた4歳馬。にも拘わらず本命馬を競り落としており、着差以上の内容と言えそうです。
前走7ハロンから一気に10ハロン戦へと新たな挑戦を克服しての勝利、次走はブリガディア・ジェラード・ステークスからエクリプスへと2000メートルを歩んでいくのでしょうか。

続いては、ダービーのトライアルとして知られるクラシック・トライアル Classic Trial (GⅢ、3歳、1マイル2ハロン7ヤード)。1頭取り消しがあって6頭立て。1勝馬ながらダービーのオッズに8対1が出されているミッドターム Midterm が8対11のやや被った1番人気に支持されていました。
3番人気(8対1)のオード・トゥー・イヴニング Ode to Evening が逃げ、ミッドタームは5番手、後方2番手に待機します。3番手を進んだ4番人気(12対1)のアルゴメーター Algometer が抜け出した所に本命ミッドタームが襲い掛かり、2頭のマッチレース。一旦はアルゴメーターの差し返しにあったミッドタームでしたが、最後は力で捻じ伏せるように1馬身半差を付けて人気に応えました。3着は8馬身の大差が付いて、最後方から追い込んだ2番人気(4対1)のハイ・グラウンズ High Grounds 。

勝ったミッドタームはハーリッド・アブダッラー氏のダービー候補で、サー・マイケル・スタウト師が管理し、ライアン・ムーアが騎乗する名コンビ。去年の10月にニューバリーの1マイル戦でデビュー勝ちし、これが未だ2戦目。スタウト師によると調教では全く動かない馬だそうですが、父ガリレオ Galileo 、母はGⅠ戦に6勝した名牝ミッドデイ(ミッデイ) Midday で、その初産駒。本番ではガラッと変わって瞬発力を繰り出すところは、流石に良血馬と言うべきでしょう。
このあとはチェスターかヨークを使ってダービーに挑むということで、そのオッズは6対1に上がりました。一方2着のアルゴメーターは、ミッドタームが勝ったレースが多頭数のために分割された一方に勝った馬で、勝ちタイムはミッドタームより遅かったもの。時計の掛かるタイムで勝負になるタイプとのことで、愛ダービーを目指すことになるようです。

最後はGⅡ戦のサンダウン・マイル Sandown Mile (bet365 Mile) (GⅡ、4歳上、1マイル14ヤード)。リチャード・ハノン厩舎がここ10年で5勝もしているレースですが、13対8の1番人気に支持されたのは、今期既にドンカスター・マイル(リステッド戦)に勝って仕上がり面で優位に立つゴドルフィンのベラード Belardo 。ゴドルフィンは3頭出しで臨みます。
ベラードのペースメーカーを務める同じヴァリアン厩舎のバーチャン Barchan が、予定通りの逃げで寮馬に有利な速い流れを創ります。しかしこれを利したのは、2番手を進んだ2番人気(7対2)で同じくゴドルフィンのトールモア Toormore 。最後は3番手から伸びる3番人気(5対1)のダッチ・コネクション Dutch Connection との叩き合いになりましたが、首差制して競り勝ちました。1馬身半差で4番手追走の5番人気(7対1)ブレトン・ロック Breton Rock が3着に食い込み、ベラードは最後方から追い上げるも4着まで。

ゴドルフィンに別の馬で勝利を齎した5歳馬のトールモアは、またもリチャード・ハノン厩舎。終わって見れば今年もハノンでした。騎乗したのはウイリアム・ビュイック。無敗で2000ギニーに向かったこともあるトールモアは、去年9月にトルコのGⅡ戦に勝っていたため3ポンドのペナルティーを背負っての参戦。これが2番人気に留まっていた要因かもしれません。
何と言っても去年のロッキンジ・ステークス(GⅠ)2着の実力馬。そのあとクィーン・アン(GⅠ)4着し、グッドウッドではレノックス・ステークス(GⅡ)に優勝。マロワ5着を経てトルコに遠征し、再びフランス遠征でフォレ賞(GⅠ)が3着、去年は香港マイル(GⅠ、11着)でシーズンを終えていました。去年勝ったレノックスでは、今回首差のダッチ・コネクションと1番人気を分け合ったライヴァル同士での決着だったことになります(レノックスも同じ着順)。
もちろん今年もロッキンジ→クィーン・アン→サセックスというマイルのGⅠ路線を歩んでいくことになるでしょう。

 

 

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