エイシンヒカリのライヴァルは?

ロイヤル・アスコットを3週間後に控えた昨日、サンダウン競馬場でトライアルとなるG戦が2鞍行われました。一つはゴールド・カップへ、もう1鞍がプリンス・オブ・ウェールズ・ステークスへのステップアップと見做されているG戦です。

5月26日のサンダウン競馬場はイヴニング開催、馬場は good to firm 、所により good と良馬場と言って良い状態。先ずゴールド・カップの前哨戦でもあるヘンリーⅡ世ステークス Henry Ⅱ S (GⅢ、4歳上、2マイル78ヤード)は、1頭が取り消して4頭立て。去年夏にヨークでロンスデール・カップ(GⅡ)に勝ち、秋にメルボルン・カップ(GⅠ)に遠征して2着だったマックス・ダイナマイト Max Dynamite が4対7の1番人気に支持されていました。
逃げたのは2番人気(9対2)のバーミーズ Burmese 。前走サガロ・ステークス(GⅢ)では大きな不利があって5着に敗れましたが、今回は前で競馬してトラブルを回避する作戦でしょう。しかしバーミーズは粘れず、2番手を追走していたムーア騎乗のマックス・ダイナマイトが残り1ハロンで先頭。そのまま人気に応えるかに見えましたが、何時もの様に出遅れから3番手を追走していた3番人気(11対2)のパラセイター Pallasator が抜け出し、最後方から差を詰める4番人気(10対1)スエジオー Suegioo に2馬身4分の1差を付ける逆転劇です。1馬身半差でマックス・ダイナマイトは3着敗退に終わりました。

サー・マーク・プレスコット厩舎、オイジン・マーフィー騎乗のパラセイターは、去年のドンカスター・カップ(GⅡ)の勝馬。GⅡ勝ちのペナルティー4ポンドを背負っていましたが、これを問題にしない快勝でした。去年はブリティッシュ・チャンピオンズ・ロング・ディスタンス・カップ(GⅡ)4着でシーズンを終えていましたが、これが7歳シーズンの初戦。当然ながらゴールド・カップを目指すことになります。
いつもゲートインを嫌って暴れる癖がある馬。ドンカスター・カップもゲートインに手古摺りましたが、この日はカメラマンが期待したようなパフォーマンスは無く、スタートでやや出遅れただけ。アスコットは晴れ舞台だけに、どんな振舞いを見せるでしょうか。

続いてはブリガディア・ジェラード・ステークス Brigadier Gerard S (GⅢ、4歳上、1マイル2ハロン7ヤード)。アスコットのGⅠ戦、プリンス・オブ・ウェールズ・ステークスを目指す馬たち7頭が揃いました。昨シーズンをローズ・オブ・ランカスター・ステークス(GⅢ)勝利で締め括り、今期はドバイに遠征して一叩き(ワールド・カップ・ターフで8着)したインティラーク Intilaaq が5対4の1番人気。
スタートで先手を取ったのは4番人気(7対1)のスコティッシュ Scottish でしたが、1ハロン行った地点で本命のインティラークが先頭に立ち、スコティッシュは2番手に控えます。しかし残り2ハロンでスコティッシュが再び先頭を奪い返す所を、3番手を追走していた去年の勝馬で3番人気(7対2)のウエスタン・ヒム Western Hymn が猛追。連覇を目指して抜け出したウエスタン・ヒムの外から更に追い上げたのが、前半は最後方で待機していた2番人気(3対1)のタイム・テスト Time Test 。最後は2頭の首の上げ下げとなりましたがペースが速かった分、差し馬の末脚が勝り、タイム・テストがウエスタン・ヒムを首差抑えて優勝。4馬身半差でスコティッシュが3着を粘り込み、インティラークは6着に沈んでしまいました。

勝ったタイム・テストはロジャー・チャールトン厩舎、ライアン・ムーア騎乗で、長い間プリンス・オブ・ウェールズの有力候補に挙げられていた4歳馬。去年のロイヤル・アスコットではターセンテナリー・ステークス(GⅢ)に圧勝し、騎乗していたデットーリもGⅠ級と太鼓判。去年のアスコットでは最も強い勝ち方で魅せた1頭でした。
秋にジョエル・ステークス(GⅡ)に勝ったため、今回はペナルティーとして5ポンドを背負っての勝利ですから、着差以上の力があると見るべきでしょう。シーズン最後のBCマイルは人気で大敗しましたが、小回りコースで外に回される不利があったもの。今期初戦を快勝し、愈々GⅠ獲りに一歩を踏み出した印象です。

いつもの年ならすんなりプリンス・オブ・ウェールズの本命に推される所ですが、今年は二日前にエイシンヒカリの圧勝劇があったばかり。チャールトン師も“エイシンヒカリがいちゃねェ~”と、強気にはなれない様子。オッズは、そのエイシンヒカリが5対2の本命に上がり、タイム・テストは8対1。もちろん2着のウエスタン・ヒム、本命で敗れたインティラークもアスコットを目指しますが、伏兵的な存在と見られているようです。
因みに、タイム・テストのオーナーはジャドモント・スタッドのハーリッド・アブダッラー氏で、イスパハン賞で本命として敗退したニュー・ベイ New Bay のオーナーでもあります。

 

 

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