マインディング、不安を一掃してクラシック・ダブル!
終わって見れば強かった! やっぱりダービーに出るべきだったか、というのが今年のオークスの印象でしょう。金曜と土曜、毎年エプサムの丘で行われる英国クラシックの祭典、初日のオークス・レポートです。
一般ニュースでも報じられているように、今年は雨が纏めて降っている欧州。イギリスも例外ではないようで、今週初めの雨で馬場はgood to soft に軟化。それでも当初心配された状態より速く回復したようで、既報の登録馬9頭の中から取り消す馬はありませんでした。
当然ながら1000ギニーを楽勝したマインディング Mindibg が10対11と単勝2倍を切る断然の1番人気。1000ギニーを勝った時点ではダービーも勝てるのでは、という評価でしたが、オーナーの信念もあってオークスへ。
直前にゴドルフィンが追加登録してきたスキッフル Skiffle 株が急速に上がり、6対1で2番人気。以下オブライエン厩舎の第2の矢、サムハウ Somehow が7対1の3番人気で続いていました。単勝で10倍を切るのは、この3頭のみ。
そのサムハウが大本命への援護射撃の意味も兼ねてペースを作り、マインディングは重馬場にも拘わらず後方から。やはり1マイル半という初距離を意識したライアン・ムーアの判断でしょうか。
レース前にも様々なトラブルに遭遇してきたマインディング、オークスの本番でも他馬に前を塞がれる場面があったようで(スタンドからは見えなかった由)、同じく後方に待機していたデットーリ騎乗の5番人気(12対1)アーキテクチャー Architecture が勝負を賭けてスパートした時には一瞬、行き場を失う場面も。
それでも漸く間隙を見出して仕掛けると、瞬発力は桁違い。並ぶ間も無くアーキテクチャーを1馬身4分の3差突き放し、堂々の二冠達成です。これも後方から7番人気(14対1)のハーレクィーン Harlequeen が追い込みましたが、実に8馬身の大差が付いての3着。更に14馬身差で逃げたサムハウが4着に入り、マインディングの強さばかりが目立ったオークスでした。
エイダン・オブライエン調教師、ライアン・ムーア騎手は共に喜びはもちろんでしょうが、大本命で勝ったという安堵感の方が先に立ったのではないでしょうか。12日前の激走からのローテーション、怪我の回復、初距離、馬場状態、レース中の不利等々の不安を一掃してのクラシック・ダブルです。
オブライエン師はオークス、1998年のシャトゥーシュ Shahtoush 、2001年イマジン Imagine 、2006年アレクサンドロヴァ Alexandrova 、2012年のウォズ Was 、そして去年のクオリファイ Qualify に続く6勝目となりました。ムーア騎手は2010年にダンロップ厩舎のスノー・フェアリー Snow Fairy で制して以来の2勝目。
また1000ギニーとオークスの連覇は、2002年のカッツィア Kazzia 以来の快挙で、スピード、クラス、スタミナの三拍子揃った馬でなければ成し遂げられないこと。オーナーの一人であるマイケル・テイバー氏は、“ダービーに出すべきだったかも・・・”とコメントしていましたが、これもレースが終了したからこそ出来る発言でしょう。
今後のマインディングですが、ブックメーカーは次の愛オークスに1対2(11対10から)、凱旋門賞には8対1(12対1から)のオッズを出しましたが、ムーア騎手の見解では1マイル半より少し短い距離が良いのでは、とのこと。2000メートル路線と言う選択肢もありそうです。
クラシックが4レース続くことになる愛オークス参戦は未定ですが、今回の2・3着馬は何れもアイルランド遠征を明言していました。ダービー出走は実現しませんでしたが、牡馬との対決は凱旋門賞までお預けになるのでしょうか。
さて金曜日はエプサムのレディース・デイということで、オークスの前にダイオメド・ステークス Diomed S (GⅢ、3歳上、1マイル114ヤード)も行われています。こちらは馬場を嫌って4頭が取り消し、7頭立て。特に去年の勝馬でGⅠ戦でも好勝負して来たアロッド Arod が回避したため、このクラスでは常連のヴェテラン、8歳のタリアス Tullius が5対2の1番人気に繰り上がっていました。
5番人気(8対1)の7歳馬カスタム・カット Custom Cut が逃げ、タリアスは後方3番手。カスタム・カットは最後の瞬間まで粘りましたが、タリアスと後方2番手に付けていた2番人気(7対2)のデコレイテッド・ナイト Decorated Knight が追い上げ、ゴールでは3頭が横一線。写真判定の結果、タリアスが短頭差でデコレイテッド・ナイトを抑え、頭差でカスタム・カットが3着に粘っていました。
アンドリュー・ボールディング厩舎、ジミー・フォーチュン騎乗のタリアスは、去年のダイオメド4着馬。このあとヨーク・ステークス(GⅡ)に勝ち、去年はチャンピオン・ステークス(GⅠ)7着でシーズンを終えていました。
今期はウインター・ダービー(GⅢ)5着、フランス遠征でエクスバリー賞(GⅢ)も5着、アール・オブ・セフトン・ステークス(GⅢ)3着に続いて前走ゴードン・リチャーズ・ステークス(GⅢ)が5着と余り間隔を空けずに堅実に走ってきました。G戦、リステッド戦を併せ、これが11勝目となる馬主孝行、厩舎のアイドルと言えるでしょう。
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