オブライエン厩舎の明暗

今日は、昨日8月7日にアイルランドのカラー競馬場で行われたG戦2鞍から始めましょう。土曜日のアメリカ競馬に付いては後ほど更新します。

馬場状態は good to firm 、所により good 。先に行われたフェニックス・ステークス Phoenix S (GⅠ、2歳牡牝、6ハロン)は、今期ヨーロッパで行われる最初の2歳GⅠ戦です。ロイヤル・アスコットでコヴェントリー・ステークス(GⅡ)を楽勝し、3戦無敗のカラヴァッジョ Caravaggio が1対8の馬鹿げた1番人気。コヴェントリーで破った馬たちが次々と活躍し、今年のロイヤル開催で最も目立った馬の再登場に熱い視線が注がれていました。
カラヴァッジョと同厩で4番人気(33対1)のカレッジ・アンダー・ファイア Courage Under Fire が逃げ、恰もペースメーカーのような形。4番手に付けていたカラヴァッジョは2ハロン標識辺りから進出を開始し、鞍上も楽に抜け出すと、逃げた寮馬に4馬身差を付ける圧巻のパフォーマンスで無敗の連勝記録を「4」に伸ばしました。オブライエン厩舎はワン・ツー・フィニッシュです。更に2馬身4分の3差で3番手を進んだ2番人気(4対1)のメディシン・ジャック Medicine Jack が3着。

オブライエン厩舎の主戦騎手ライアン・ムーアは、目下長期休暇中で、ポルトガルでヴァカンスを楽しんでいるという噂。一部には痛めた肉体の治療に当たっているという情報もありますが、今の所何時復帰するのかは不明です。ということで、今回カラヴァッジョには初コンビとなるシーマス・ヘファーナンが騎乗していました。ヘファーナンは調教でもほとんどのオブライエン管理馬に乗っており、同馬の卓越したスピードには太鼓判を押しています。
オブライエン師はこのレース、何と15勝目。1998年から2003年には6連覇し、2008年から2010年にも3連覇。そして今回は、2014年から又しても3連覇したことになります。カラヴァッジョはこれまで6ハロンまでしか経験はありませんが、7ハロン挑戦はもう暫く先になるとのこと。このあとはモルニー賞からミドル・パーク・ステークスという路線になりそうです。しかしブックメーカーはカラヴァッジョを来年の2000ギニー断然本命に上げており、オッズはレース前の3対1から5対2へと更に上昇しました。
ただ、不安と言えばフェニックス・ステークスの勝馬には短距離系が多く、カラヴァッジョの父スキャット・ダディー Scat Daddy は2歳時にシャンペン・ステークス、3歳時にはフロリダ・ダービーとGⅠ戦に2勝しましたが、ケンタッキー・ダービーは18着と大敗していたこと。牝系には日本のホッコータルマエなどそれなりに距離を克服している馬も出ていますが、クラシックへのインパクトとなると一抹の不安は残ります。距離が伸び、3祭儀になってからのカラヴァッジョに注目して行きましょう。

その実験台になる、とでも言えそうなのが次のフェニックス・スプリント・ステークス Phoenix Sprint S (GⅢ、3歳上、6ハロン)。7頭が出走し、唯1頭の3歳馬エア・フォース・ブルー Air Force Blue がイーヴンの1番人気。エア・フォース・ブルーは正に去年のフェニックス勝馬で、今年の2000ギニーで圧倒的な本命に支持されながら12着と大敗したのが記憶に新しい所。その後愛2000ギニーも7着(8頭立て)、短距離に路線を変更して臨んだジュライ・カップでもまたまた12着と惨敗を重ねてきた失望馬。今回は最後のチャンスだぞ、とでも言う様な出陣となりました。
3番人気(5対1)のトスカニーニ Toscanini 、6番人気(20対1)のロード・オブ・ザ・ランド Lord Of The Land が逃げ争いを演ずる中、大本命はジワッとスタートして後方。次第にペースを上げて先行馬群に取り付いたものの、落鉄という不運もあってやる気喪失。そのままズルズルと後退し、6着の馬から11馬身も離された最後方に終わりました。4回連続の凡走と大敗、オブライエン師、クールモアのスタッフたちの忍耐力が何処まで続くでしょうか。
さて勝負ですが、逃げ争いを制したトスカニーニが、3番手から追い込む2番人気(9対2)のイースタン・インパクト Eastern Impact に1馬身4分の3差を付けて優勝。2馬身差でロード・オブ・ザ・ランドが3着に入りました。

勝ったトスカニーニは去年のこのレースで2着した4歳せん馬で、マイケル・ハルフォード厩舎、ジェームス・ドイル騎乗。これまでG戦では何度も入着してきましたが、G戦勝は今回が初めてとなります。前々走カラーのリステッド戦に勝ち、前走ミンストレル・ステークス(GⅡ)では3着でした。
エア・フォース・ブルーについてはレース後の情報などは未だ入っていないようです、マイルでダメ、スプリントでもダメとなれば、去年のGⅠ2勝、チャンピオン2歳牡馬の勲章は何処に行ってしまうのでしょうか。

 

 

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