悲劇のモーリス・ド・ギースト

8月の日曜日と言えば、ドーヴィル競馬場の夏競馬。夏の風物詩でもありましょう。昨日の第2週はG戦2鞍が組まれていました。フランスのヴァカンスは天候とテロの影響で人影も疎らと聞きましたが、ドーヴィルはどうなんでしょう? 馬場は good だったようですが。

今年は先にモーリス・ド・ギースト賞 Prix Maurice de Gheest (GⅠ、3歳上、1300メートル)が行われました。1頭が取り消しても15頭立てと混戦になりましたが、香港のGⅠ馬で、前走英国に遠征したロイヤル・アスコットのダイアモンド・ジュビリー・ステークス(GⅠ)で2着と快速振りをヨーロッパにも見せ付けたゴールド=ファン Gold-Fun が27対10の1番人気。
レースはスタートから波乱含み。スタート前に3頭がゲートから出てしまい、スタートのやり直しとなりました。2度目の仕切り直しは4番人気(92対10)のサインズ・オブ・ブレッシング Signs of Blessing の逃げで始まりましたが、悲劇が起きたのは残り1ハロン地点。先行策から抜け出しを図った本命ゴールド=ファンが騎手のゴーサインでやや寄れたかに見えた直後に落馬。致命傷の骨折で、同馬は安楽死処分という悲劇になってしまいました。騎乗していたクリストフ・スミオンは自ら歩いて診療所に向かいましたが、残りのレースは全てキャンセルとなりました。
本命馬が落馬するというアクシデントがありましたが、サインズ・オブ・ブレッシングは実力を伴う逃げ切り勝ちで、2着以下に1馬身4分の1差を付けていました。写真判定となった大混戦の2着争いは、首・首・短頭差で後方から追い込んだ2頭、9番人気(17対1)のドンジュアン・トリオンファント Donjuan Triumphant が2着、3番人気(79対10)のジミー・トゥー・タイムズ Jimmy Two Times が3着。2・3着は共に3歳馬です。

勝ったサインズ・オブ・ブレッシングは、フランソワ・ロホー厩舎、ステファン・パスキエ騎乗の5歳せん馬。今期はシャンティの条件戦とフォンテンブローのリステッド戦に2連勝し、サン・ジョルジュ賞(GⅢ)こそ5着に終わったものの、前走ダイアモント・ジュビリーではゴールド=ファンに続く3着でした。
G戦は3歳時にドイツのGⅢ戦に勝って以来で、もちろんGⅠ戦は初制覇となります。

次が長距離のルー賞 Prix de Reux (GⅢ、3歳上、2500メートル)。1頭が取り消して6頭立てとなり、前走シャンティーの条件戦に勝ったファーブル厩舎のビッグ・ブルー Big Blue が2対1の1番人気。多分に厩舎人気という要素があったでしょう。
2番人気(12対5)のコヘーション Cohesion が逃げ、ビッグ・ブルーも先行策から抜け出しに掛かりましたが瞬発力は今一。2番手に付けていた3番人気(14対5)のヴェンチュラ・ストーム Ventura Storm が抜け、後方2番手から追い込む6番人気(9対1)のムーンシャイナー Moonshiner に3馬身半差を付ける圧勝でした。頭差で人気のビッグ・ブルーは3着。

英国のリチャード・ハノン厩舎、グレゴリー・ブノア騎乗のヴェンチュラ・ストームは、前々走仏ダービーに遠征して16頭立ての12着だったものの、クラシックに遠征するだけの器。前走もドイツに遠征してハンブルク競馬場のリステッド戦に勝っており、距離が伸びて本領を発揮するタイプでしょう。
イギリスとドイツのセントレジャーに登録があり、やはりドンカスターのセントレジャーで最後のクラシックに挑みたいところ。9月が楽しみな1頭です。

 

 

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