2016ヨーク・イボア開催初日
英国競馬8月の第3週は、恒例のヨーク競馬場イボア・フェスティヴァル。現在では水曜日から土曜日までの4日間開催で、最終日に行われるイボア・ハンデが往年の名物レースだったために「イボア・ミーティング」と呼ばれてきました。
もちろん現在でもイボア・ハンデは馬券としては妙味があって大人気ですが、パターン・レース・システムが導入されてからは所謂Aクラスの馬が出場することはなく、当競馬ブログでも取り上げていません。イボア・ハンデと言えばかつてダイ・ハード Die Hard 、パーソロン Partholon など日本でも大変お世話になった馬たちが勝ったレースではありますが・・・。
今年も8月17日の水曜日に開幕し、初日は注目のジャドモント・インターナショナルを含めて3鞍のG戦が行われました。馬場は夏場の固い馬場が続き、good to firm 、ヨークが終われば英国競馬は秋に突入します。
最初はアコーム・ステークス Acomb S (GⅢ、2歳、7ハロン)。1頭が取り消して7頭が出走し、前走サンダウンのデビュー戦で2着以下に6馬身差を付ける圧勝で注目されたゴドルフィンのベスト・オブ・デイズ Best Of Days が10対11の断然1番人気。
6番人気(25対1)のギャラクティック・プリンス Galactic Prince の逃げで始まりましたが、3番手に付けていたベスト・オブ・デイズが残り2ハロンで先頭。そのまま独走かに見えましたが、後方から瞬発力を爆発させたのが5番人気(16対1)の伏兵シファックス Syphax という馬(サイファックスと読むべきか)、大本命を頭差捉えてのサプライズでした。4分の3馬身差で先行から粘った2番人気(7対2)のロッキード Lockheed が3着。
勝ったシファックスはケヴィン・ライアン厩舎、ジェイミー・スペンサー騎乗。この馬も新馬戦でデビュー勝ちしたばかりの1頭ですが、勝ったのはマッセルバーグ競馬場と言う、失礼ながらAクラスの馬が走る様な競馬場じゃありません。その内容も4分の3馬身差でしたから人気にならなかったのは当然ですが、陣営はかなり期待していて、BCに登録を済ませたとのこと。能力を確認するためと、トップクラスの競馬を覚えさせるために敢えてここに挑戦したのだそうです。
もちろんBC遠征が目標でしょうが、それで終わらせる積りじゃなさそう。その辺りを反映し、来年の2000ギニーに25対1のオッズが出されました。
続いてはセントレジャーのトライアル、グレート・ヴォルティジュール・ステークス Great Voltigeur S (GⅡ、3歳牡せん、1マイル4ハロン)。今年は6頭が出走し、エイダン・オブライエン厩舎が3頭を送り込んできました。オブライエン厩舎には相性の余り良くないレースですが、そのエース格アイダホ Idaho が5対6の1番人気。未だ1勝馬ですが、ダービー3着、愛ダービー2着は伊達じゃないでしょう。
同じオブライエンの3番人気(6対1)ハウシスオブパーラメント Housesofparliamnet が逃げ、アイダホは最後方待機。順調に逃げ馬がペースを作りましたが、アイダホは残り1ハロンで馬群を縫うように追い上げ、粘るハウシスオブパーラメントをキッチリ1馬身4分の3差捉えて人気に応えました。同じく1馬身4分の3差で、4番手を進んでいた2番人気(9対2)のアクロス・ザ・スターズ Across The Stars が3着。同馬は前走キング・エドワード7世ステークス(GⅡ)に勝っていたため3ポンドのペナルティーを背負っていましたが、この結果セントレジャーへは向かわず、1マイル半を中心のローテーションに徹するようです。
ライアン・ムーア不在のため今回はシーマス・ヘファーナンが騎乗したアイダホ、勝鞍は2歳時カラーのデビュー戦以来ですが、今期はバリーサックス(GⅢ)2着、ダービー・トライアル(GⅢ)3着を経て、英仏ダービーで入着。漸く名声に相応しいG戦タイトルを獲得しました。
オブライエン師は、1・2着共にセントレジャー参戦を明言。アイダホのオッズはレース前の4対1から7対4に上がり、現在の本命です。アイダホもまたガリレオ Galileo 産駒で、一つ上の全兄は今年のキングジョージを制したハイランド・リール Highland Reel 、兄弟揃ってGⅠ勝馬となるか?
初日の最後は、そのハイランド・リールも参戦するジャドモント・インターナショナル・ステークス Juddmonte International S (GⅠ、3歳上、1マイル2ハロン88ヤード)。1頭の取り消しがあったものの12頭が出走し、近年に無い大混戦。ここは実績上位のポストポーンド Postponed が15対8の1番人気。前走予定していたキングジョージを呼吸器系の感染症で欠場したという不安が残ります。
ポストポーンドのペースメーカーを務める最低人気(150対1)のキング・ボレート King Bolete が予定通りペースを作り、2番人気(6対1)のハイランド・リールが2番手追走。これを3番手で待機していたポストポーンドが勝負は今、3ハロン地点から先頭を奪うと、そのままハイランド・リールに1馬身4分の1差を付けて不安を一掃しました。中団から4番人気(15対2)のムタカイェフ Mutakayyef が一旦は2番手に上がる勢いで追い込みましたが、最後はハイランド・リールに1馬身突き放されての3着。
これでロジャー・ヴァリアン厩舎、アンドレア・アトゼニ騎乗のポストポーンドは、去年のキングジョージから6連勝。キングジョージ前の情報では体調が思わしくないというのが回避理由でしたが、後に厩舎全体に感染症が広まったのが原因でした。漸くそれも治まり、体調も整ったことによりここに参戦。今期はドバイでGⅠ戦(シーマ・クラシック)を含めて2連勝し、前走コロネーション・カップに続き4戦無敗、GⅠ戦は4勝目となりました。
凱旋門賞のオッズは3対1。古馬の代表格であることは間違いなく、現時点では3歳の有力馬を抑えて1番人気になっています。
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