サン=クルーで行われたGⅢ戦2題

ドーヴィルの夏開催が終わり、例年なら秋競馬がロンシャンでスタートするフランスの平場競馬ですが、今年は秋の大一番に向けたトライアルも様々な競馬場に振り分けられるようです。
未だ全容は掴めていませんが、取り敢えず9月4日の日曜日にはサン=クルー競馬場で2鞍のGⅢ戦が行われています。馬場は good 。

何れも本来ならロンシャン競馬場で行われるG戦で、先ずリュテース賞 Prix de Lutece (GⅢ、3歳、3000メートル)は3歳馬のみによる長距離戦。シーズン末に行われるロワイアル・オーク賞(GⅠ)、いわゆる仏セントレジャーを目指す馬たちのトライアルと見ればよいでしょう。
出走馬は僅かに5頭、前走ドーヴィルで3000メートルのリステッド戦に勝ったクレオンテ Cleonte が11対10の1番人気に推されていました。G戦はノアイユ賞(GⅢ)で4着したことがあるだけ。

3番人気(17対5)のサガロワ Sagaroi が逃げ、クレオンテは4番手。英字競馬情報誌にはレポートすら出ていませんが、恐らく超スローペースで流れたのでしょう、2番手を追走していた2番人気(12対5)のムーンシャイナー Moonshiner が抜け出し、3番手に付けていた4番人気(68対10)のドゥーニャプール Dounyapour に1馬身差を付けて優勝。半馬身差でクレオンテは3着まで。
勝ったムーンシャイナーは、ドイツでジャン=ピエール・カルヴァルホというフランス風の名前を持つ方(正しい読み方は判りません)が調教している馬で、マクシム・グィヨン騎乗。実は前走もフランス遠征で、8月7日にドーヴィル競馬場で行われたルー賞(GⅢ、2500メートル)で最低人気ながら2着に入っていました。その前にはブレーメンでドイツ・ダービー・トライアル(リステッド、2200メートル)に勝っており、距離が伸びて成績が上がるタイプと思われます。
父アドラーフルーグ Adlerflug はドイツ・ダービーを制した馬で、この日バーデン・バーデンで行われたバーデン大賞典(GⅠ)もアドラーフルーグ産駒のイクイトス Iquitos が勝っており、父にとっては最良の日曜日になりました。

もう一鞍のラ・ロシェット賞 Prix La Rochette (GⅢ、2歳、1400メートル)は、凱旋門ウィークに行われるジャン=リュック・ラガルデール賞(GⅠ)の前哨戦にもなるものですが、こちらも6頭立てと小頭数。前走ドーヴィルでカルヴァドス賞(GⅢ)3着のベイリーズ・ショウガール Baileys Showgirl が実績上位ということで2対1の1番人気でした。
このレースも逃げたのは3番人気(18対5)のメイト・ストーリー Mate Story で、ベイリーズ・ショウガールは3~4番手を先行。前半は後方に控えていた5番人気(36対5)の伏兵コントラスタート Kontrastat が残り1ハロンでは3番手まで進出し、最後の末脚で逃げるメイト・ストーリーを4分の3馬身捉えてサプライズとなりました。1馬身4分の3差でベイリーズ・ショウガールが3着に入り、この日のG戦は何れも本命馬が3着に終わっています。

勝ったコントラスタートという馬は、フランスのローカル競馬でデビューして2着。2戦目がドーヴィルの未勝利戦で、ここで10頭立てを制してここが3戦目でした。これまで走ったのは全て1400メートル。
管理しているのはステファン・ヴァッテルというドイツ風の名前持つ方で、テオ・バシェローというこれまた馴染みのない名前のジョッキーが騎乗していました。フランスにも新しい風が吹いているということでしょうか。
これまでの3戦で評価するのは難しい所ですが、父のマイ・リスク My Risk は典型的なマイラーで、カンセー賞など1600メートルのGⅢ戦を4勝し、ジャック・ル・マロワ賞(GⅠ)で3着の実績もあります。ドイツ風の馬名を持つコントラスタート、やはりマイラーと見るのが妥当でしょう。

 

 

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