ソングバード、無敗でGⅠ戦7勝目!

9月最終週のアメリカ競馬は静かながらも話題に富み、4場に8鞍と賑わいにも事欠きませんでした。一つづつ丁寧に追いかける気力はありませんが、順次取り上げていきましょう。

最初はヘルモント・パーク競馬場のノーブル・ダムゼル・ステークス Noble Damsel S (芝GⅢ、3歳上牝、8ハロン)。good の馬場に1頭が取り消して7頭立てとなり、前走サラトガのダイアナ・ステークス(芝GⅠ)では7着と敗れたものの、既にG戦に勝っているミセス・マクドゥーガル Mrs McDougal がイーヴンの1番人気。
これまで控える競馬をしてきたミセス・マクドゥーガル、今回はスタートからハナを主張して直線に向かいます。3番手を追走していた同厩の3番人気(4対1)のジンダイヤ Zindaya が追い上げましたが、2馬身差を付けての逃げ切り勝ち。更に2馬身半差で5番手を進んだ2番人気(5対2)のストーミー・ヴィクトリア Stormy Victoria が3着に入り、ブラウン厩舎のワン・ツー・フィニッシュ。
チャド・ブラウン厩舎、イラッド・オルティス騎乗のミセス・マクドゥーガルは、2015年4月のアローワンス戦以来となる逃げ切り勝ち。去年夏のサラトガでレイク・ジョージ・ステークス(芝GⅡ)に勝って以来二つ目のG戦勝ちとなります。通算成績は11戦5勝3着2回。

次はパークス・レーシング競馬場に行きましょうか。土曜日のアメリカ競馬はここがハイライトでした。先ず3歳の短距離戦、ギャラント・ボブ・ステークス Gallant Bob S (GⅢ、3歳、6ハロン)は fast の馬場に1頭が取り消して11頭立て。オールウェザー・コースでステークスに勝っているノーホールディングバック・ベアー Noholdingback Bear が、前走サラトガのダートで行われたキングズ・ビショップ・ステークス(GⅠ)でも3着と好走したことから3対1の1番人気。
3番人気(4対1)ネイヴィー・ヒム Navy Hymn の逃げを5番手で追走した本命馬、直線では4頭分の外を追い上げ、5番人気(7対1)のマインド・ユア・ビスケット Mind You Biscuits に1馬身4分の1差を付けて人気に応えました。微差2番人気(3対1)のスリーファイヴインディア Threefiveindia が半馬身差の3着。
マイケル・デ・パウロ厩舎、エウリコ・ローザ・ダ・シルヴァ騎乗のノーホールディングバック・ベアーは、ウッドバインとプレスク・アイルのタペタ・コースで一般ステークスに連勝。次いでウッドバインでボールド・ヴェンチャー・ステークス(カナダGⅢ)でも2着し、前走がサラトガのGⅠ3着。キングズ・ビショップの7ハロンは同馬にはやや距離が長かったようですが、この6ハロンは最適距離。できればBCスプリントに挑戦したいという意向です。

そしてこの日唯一のGⅠ戦となるコーティリオン・ステークス Cotillion S (GⅠ、3歳牝、8.5ハロン)。出走馬は僅か6頭ですが、何といっても無敗のチャンピオン、ソングバード Songbird が1対5の圧倒的1番人気。それでも今回はケンタッキー・オークス馬キャスリン・ソフィア Cathryn Sophia (5対2、2番人気)とエイコーン勝馬カリーナ・ミア Carina Mia (6対1、3番人気)が相手とあって、これまででは一番骨っぽい競馬と噂されていました。
ソングバードも好スタートを切りましたが、内枠から出たカリーナ・ミアがハナを叩いてソングバードは2番手待機。3強の一角キャスリン・ソフィアも4番手で虎視眈々。第4コーナー、手が動いてソングバードが外からカリーナ・ミアを捉えると、あとは独走。そのままカリーナ・ミアに5馬身4分の3差を付けて「誰が女王か」を見せ付けました。更に6馬身4分の3差が開いてオークス馬キャスリン・ソフィアは3着。
ジェリー・ホーレンドルファー厩舎、マイク・スミス騎乗のソングバードは、これで無傷の11連勝。オークスこそ熱発で回避しましたが、2歳時から数えてGⅠ戦は7勝目となります。残る目標は、BCディスタッフで古馬を一蹴して真のチャンピオンに就くことでしょう。

パークスのもう一鞍、ペンシルヴァニア・ダービー Pennsylvania Derby (GⅡ、3歳、9ハロン)もクラシック馬2頭の参戦で盛り上がりました。即ちダービー馬ナイクィスト Nyquist が6対5で1番人気、プリークネスを制したエクサジェレイター Exaggerator が6対1の3番人気です。2番人気(5対1)はダービー3着のガン・ランナー Gun Runner で、12頭立てと多頭数。
7番人気(19対1)のオウサム・スルー Awesome Slew が1番枠を利してハナに立ち、ナイクィストは3番手、エクサジェレイターはいつものように後方から。第3コーナーを過ぎた辺りからナイクィストが仕掛けて直線に入り、一旦は先頭に立つ場面もありましたが、内からは5~6番手を進んでいた5番人気(10対1)のコネクト Connect 、外からは4番手追走のガン・ランナーが本命馬を交わし、最後はコネクトがガン・ランナーを半馬身抑えてG戦初勝利を挙げました。4馬身差の3着には11番人気(60対1)の伏兵ワイルド・アバウト・デブ Wild About Deb が飛び込み、ナイクィストは6着、エクサジェレイターも7着と凡走に終わっています。
チャド・ブラウン厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のコネクトは、5月のベルモントで初勝利。7月にはサラトガの一般ステークス(カーリン・ステークス)を3連勝で飾り、G戦初挑戦のトラヴァース・ステークス(GⅠ)では6着と力及ばなかった存在です。今年のクラシックは三冠レース全て勝馬が異なり、秋口に入っても抜けた存在が出ていません。ラニ Lani は今頃どうしているのでしょうか。

さてローレル・パーク競馬場でもダービーを含め芝のG戦が3鞍行われました。この競馬場は全馬の最終オッズも表示されませんし、レース展開も正確には読み取れません。そのた情報も少ないので簡単に。最初のコモンウェルス・オークス Commonwealth Oaks (芝GⅢ、3歳牝、9ハロン)は firm の馬場に1頭が取り消して10頭立て。1番人気は8対5のステラ・ローズ Stella Rose だったと思われますが、4番手追走の儘4着に終わっています。
30対1の伏兵イッツ・ザ・トゥルース It’s the Truth が逃げましたが、内ラチ沿いにスルスルと追い込んだ9対2(4番人気?)のマイ・インプレッション My Impression が、同じく内ラチ沿いに伸びた7対2のノーブル・ビューティー Noble Beauty に3馬身4分の1差を付けて快勝。頭差の3着は2着馬と同じ7対2のプライスドトゥーパーフェクション Pricedtoperfection でした。
クロード・マゴーヒー厩舎、ホセ・オルティス騎乗のマイ・インプレッションは、これで7戦4勝。G戦は初制覇ですが、一般ステークス(クリスチャーナ・ステークス)があるようで、前走サラトガのレイク・プラシッド・ステークス(芝GⅡ)は6頭立て6着に敗退していました。

次のコモンウェルス・ターフ・カップ Commonwealth Turf Cup (芝GⅡ、3歳上、8ハロン)、去年は9ハロンで、レース名に「ターフ」が入っていませんでした。1頭が取り消して11頭立て。去年のベルモント・ダービー(芝GⅠ)の覇者フォース・ザ・パス Force the Pass が3対2の1番人気。
10番人気(80対1)の伏兵ハイコ Heiko が逃げて直線もよく粘りましたが、内から抜けた3番人気(7対2)のブラックタイプ Blacktype が9番人気(25対1)のトップ・オブ・マインド Top of Mind に半馬身差を付けて優勝。勝時計1分33秒43はコースレコードでした。頭差で4は全手を進んだフォース・ザ・パスが3着。
クリストフ・クレメント厩舎、トレヴァー・マカーシー騎乗のブラックタイプは、7月3日にベルモントのアローワンス戦、7月31日にはモンマスでオーシャンポート・ステークス(芝GⅢ)に勝ち、これで3連勝。芝のG戦も2連勝となりました。

芝G戦シリーズの最後は、コモンウェルス・ダービー Commonwealth Derby (芝GⅡ、3歳、9ハロン)。10頭が出走し、ケント・ステークス(芝GⅢ)の勝馬でセクレタリアート・ステークス(芝GⅠ)3着のアメリカン・ペイトリオット American Patriot が8対5の1番人気。
最低人気(99対1)のフランクリン・タワーズ Franklin Towers が逃げましたが、前半は8番手に控えていた4番人気(6対1)のディープリー・アンダーヴァリュード Deeply Undervalued が直線では前3頭の外から追い込み、2番人気(3対1)のアイソターム Isotherm に1馬身差を付ける差し切り勝ち。2着争いは接戦でしたが、頭差で8番人気?(19対1)のヒール・ペイ He’ll Pay が3着に入り、人気のアメリカン・ペイトリオットはハナ差で4着惜敗に終わりました。
チャド・ブラウン厩舎、マヌエル・フランコ騎乗のディープリー・アンダーヴァリュードは、前走サラトガのアローワンス戦が微差2着。ここがステークス・デビューで、通算成績は6戦2勝2着3回となります。

昨日の最後はカリフォルニア、ロス・アラミトス競馬場で行われたロス・アラミトス・ダービー Los Alamitos Derby (GⅡ、3歳、9ハロン)です。去年は7月4日、夏競馬の前に行われたレースで、ハリウッド時代のスワップス・ステークスから名前が変わったもの。8頭が出走し、前走デル・マーで一般ステークス(シェアード・ビリーフ・ステークス)に勝って2連勝のアクセルレイト Accelerate が4対5の1番人気。
6番人気(25対1)のクリス・アンド・デイヴ Chris and Dave が逃げ、アクセルレイトは4番手の外を追走。3番手に付けていた3番人気(3対1)のセンパー・フォルティス Semper Fortis が抜け出して逃げ込みを図りましたが、外から追い込むアクセルレイトと、2番手から内を衝いた2番人気(5対2)のブラックジャックキャット Blackjackcat の三つ巴。ゴール直前でギリギリ外からアクセルレイトがセンパー・フォルティスを頭差捉え、1馬身半差でブラックジャックキャットが3番手で入線しましたが、最後のラフな進路について3頭共が審議対象。長い審査の末、入着通りで確定しています。
ジョン・サドラー厩舎、タイラー・ベイズ騎乗のアクセルレイトは7月28日、4戦目にデル・マーで2着に8馬身4分の3差を付けて初勝利を挙げ、続く一般ステークスと連勝。ここがG戦初挑戦でしたが、見事3連勝で「ダービー馬」となりました。4月のロス・アラミトスでデビューして2着でしたが、その時の3着馬が後にトラヴァース・ステークス(GⅠ)に勝ったアロゲート Arrogate であったことが改めて思い出されます。

 

 

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