イギリス平場シーズン最後のG戦

10月の第4土曜日、今年はカレンダーの関係から例年より早く英国のG戦シーズンが閉幕しました。もちろんシーズンは10月一杯続きますが、G戦は昨日の3鞍が最後でした。

先にドンカスター競馬場のレーシング・ポスト・トロフィー Racing Post Trophy (GⅠ、2歳牡牝、1マイル)から行きましょう。時間的にはニューバリーの2鞍より後にスタートしていますが、話題という意味ではこちらが重要でしょうから。
今期最後の英国GⅠ戦は、good の馬場に10頭立て。去年こそ大荒れでしたが、例年は固く収まる一戦で、今年はオブライエン厩舎のユカタン Yucatan が11対8の1番人気に支持されていました。未だG戦の勝鞍はありませんが、前走ベレスフォード・ステークス(GⅡ)では僚馬カプリ Capri に4分の3馬身差2着した馬。オブライエン/ムーアのコンビが英最後のGⅠ戦を勝利で締め括れるでしょうか。

逃げたのは2番人気(11対4)のリヴェット Rivet 、ユカタンはこれを好位で追走します。しかしドンカスターは平坦コース、逃げ馬の脚色は鈍らず、何とか2番手に押し上げたユカタンに1馬身4分の3差を付ける鮮やかな逃げ切り勝ちでした。同じく先行組の5番人気(16対1)サルーエン Salouen が首差で3着。これは先のジャン=リュック・ラガルデール賞(GⅠ)で2着した馬ですから、内容的にはGⅠ戦に相応しいレヴェルだったと言えるでしょう。
勝ったリヴェットは2走前に同じドンカスターで行われたシャンペン・ステークス(GⅡ)の勝馬。前走ニューマーケットのデューハースト・ステークス(GⅠ)は5着と不本意な結果でしたが、敗因はニューマーケットの上り坂が適していなかったから。平坦コースで平均ペースの強みが最大限に発揮されたと言えそうです。GⅠ馬になった以上は来年のクラシックということになりますが、坂のあるニューマーケットは避け、アイルランドかフランスを狙うことになるでしょう。

管理するのはウイリアム・ハッガス師。同馬のオーナーは「スターシップ・パートナーシップ」というグループですが、クールモアのジョン・マニエ氏の他に往年の名騎手レスター・ピゴットも名前を連ねています。ピゴットの娘がハッガス夫人ということもあり、同馬を生産したグループでもあります。グループ名のスターシップ Starship は、リヴェットの母の名前。
騎乗したアンドレア・アトゼニは、何とレーシング・ポスト・トロフィー4連覇。去年は大穴での勝利でしたが(マーセル Marcel)、今年は本命とは僅差の2番人気での勝利でした。

一方、ニューバリー競馬場では2鞍のG戦。これが今年の英国競馬最後のレポートとなります。good to soft の馬場で最初に行われたホリス・ヒル・ステークス Horris Hill S (GⅢ、2歳牡せん、7ハロン)は、シーズン最後とあって2頭が取り消したにも拘らず13頭立て。出れば1番人気になる馬が取り消したこともあり、1勝馬のエクゼキュティヴ・フォース Excecutive Force が11対4の1番人気に上がりました。前走ダンダルク競馬場のリステッド戦2着が評価されたようです。
4番人気(10対1)のシー・フォックス Sea Fox が逃げましたが、2ハロン地点からは替わって9番人気(16対1)のプリーズレットミーウィン Pleaseletmewin がハナに立ち、そのまま好位追走の11番人気(20対1)キングズ・ギフト Kings Gift に2馬身4分の1差を付ける事実上の逃げ切り勝ちとなりました。同じく先行した9番人気で並ぶロウ・アンド・オーダー Law And Order が頭差で3着に入り、人気のエクゼキュティヴ・フォースは12着と大敗。

レイフ・ベケット厩舎、フラン・ベリー騎手はこの日の第1レースに続き、この第2レースに組まれたG戦も勝っていきなりのダブル達成です。プリーズレットミーウィンは、これが7戦目で3勝となるせん馬で、クラシックには繋がりません。前々走グッドウッドのヴィンテージ・ステークス(GⅡ)で4着したあと夏休みを取り、前走ニューマーケットのオータム・ステークス(GⅢ)に参戦するも7着。どうやら休みボケがあったようです。

最後はセント・サイモン・ステークス St Simon S (GⅢ、3歳上、1マイル4ハロン5ヤード)で締めましょう。こちらも16頭立ての大混戦で、前走ニューマーケットのハンデ戦を勝ち上がったゴドルフィンのフロンティアーズマン Frontiersman が7対2の1番人気。3歳馬でキャリアも4戦2勝と浅く、伸び代に期待が集まっていました。
14番人気(66対1)の伏兵ベラジュー Bellajeu が逃げましたが、中団から伸びた10番人気(20対1)のデュレット Duretto が抜け出し、後方から追い込む5番人気(9対1)の3歳馬マウンテン・ベル Mountain Bell を半馬身差抑えて優勝。4分の3馬身差で先行した3番人気(6対1)のキングズ・フィート Kings Fete が3着に入り、人気のフロンティアーズマンは先行するも6着に終わっています。

勝ったデュレットはアンドリュー・ボールディング厩舎、グレアム・リー騎乗の4歳牡馬。勝鞍は去年9月アスコットのハンデ戦以来で、これがG戦初勝利となりました。前走カンバーランド・ロッジ・ステークス(GⅢ)がG戦初挑戦で、この時は今回3着のキングズ・フィートの5着。今回はキングズ・フィートがペナルティーとして3ポンドを課せられていたため、ほぼ1馬身の逆転に繋がりました。前走まで装着していたフードを外したのが功を奏したのかもしれません。

 

 

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