三冠への第一関門突破

12月10日のアメリカ競馬は、カリフォルニアのロス・アラミトス競馬場で行われた2歳馬のGⅠ戦2鞍のみ。去年は別の日に行われていたレースですが、今年は一日に纏められました。馬場は fast 。

先に行われたキャッシュコール・フューチュリティー CasCall Futurity (GⅠ、2歳、8.5ハロン)、去年はロス・アラミトス・フューチュリティーの名称で施行されましたが、ハリウッド競馬場時代はハリウッド・フューチュリティーとして知られていました。出走馬は僅かに5頭で複勝馬券はありませんが、来年のクラシック候補と評判の無敗馬マスタリー Mastery が1対5というガチガチの1番人気。
レースは3番人気(7対1)のボビー・アブ・ダビ Bobby Abu Dhabi が先手を取っての逃げで始まりましたが、これに外から馬体を合わせるように2番手を進んだマスタリー、直線で先頭に立つと徐々にながら差を広げ、3番手を進んだ最低人気(23対1)のアイラップ Irap に7馬身4分の1の大差を付けて陣営とファンの大きな期待に応えました。更に5馬身4分の3差が付いて、離れた最後方から追い込んだ4番人気(11対1)のデンジャーフィールド Dangerfield が3着。
ボブ・バファート厩舎、マイク・スミス騎乗のマスタリーは、10月22日にサンタ・アニタでデビュー勝ちし、2戦目の前走デル・マーでボブ・ホープ・ステークス(GⅢ)を制しての3連勝。無傷のままGⅠ勝ちで2歳線を終え、経験豊富なオーナーのエヴェレット・ドブソン氏の目標は、もちろん来年の三冠。コーナーを二度回るレースをここで初体験させ、来年のクラシックに向けて準備を開始します。バファート師はこのレース、ハリウッド時代から通算して9勝目で、今回の着差は長い同レースの歴史の中でも最大のものでした。

もう一鞍が牝馬のためのスターレット・ステークス Starlet S (GⅠ、2歳牝、8.5ハロン)。牡馬よりは混戦が予想され9頭立て。キャッシュコールの結果を受け、バファート/スミス・コンビのアメリカン・ギャル American Gal が4対5の1番人気。前走無敗で臨んだBCジュヴェナイル・フィリーズでは1番人気に支持されながら3着、実績でも最上位です。
ここは4番人気(10対1)のタップド Tapped が逃げ、4番手に付けたアメリカン・ギャルが外を回って徐々に進出。3番手で直線に入ると先頭に立ち、そのまま期待に応えるかに見えましたが、本命馬の直後をマークするように追走した5番人気(12対1)のエーブル・タスマン Able Tasman が更に外から追い上げ、遂にゴールではアメリカン・ギャルに1馬身差を付ける逆転劇となりました。2番手を追走した8番人気(30対1)の伏兵モポティズム Mopotism が3馬身4分の1差の3着。
サイモン・キャラガン厩舎、ジョセフ・タラモ騎乗のエーブル・タスマンは、8月サラトガのデビュー戦は5着。9月末にサンタ・アニタで未勝利を脱し、前走11月のデル・マーでアローワンス戦に連勝。今回は距離が伸びることが有利と判断し、1万ドルの追加登録料を支払ってのステークス初挑戦で、見事GⅠ獲りに成功しました。ズバリ、距離が伸びて真価が発揮されるタイプでしょう。

 

 

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