ザルカヴァ圧勝の仏オークス
クラシック・シーズンはホントに忙しいです。土曜日はエプサム・ダービーに沸きましたが、息つく暇もなく日曜日はシャンティー競馬場へ。尤も実際に行くわけじゃないのでお気楽なもんですが、気持だけはパリ郊外に・・・。
日曜日のクラシックはフランス・オークス。正しくはディアーヌ賞 Prix de Diane ですね。距離は伝統的に2100メートル。フランスでは、牝馬が真正クラシック距離である2400メートルでチャンピオンシップを争うのは秋のヴェルメイユ賞までお預けです。
で、昨日の仏オークス、13頭が出走してきましたが、主役はタダ1頭、ザルカヴァ Zarkava です。彼女の強さは衆目の一致するところで、2歳時にマルセル・ブーサック賞に勝ち、3歳の今年も仏1000ギニーを圧倒的強さで制し、目下4戦無敗のスーパースター。このオークスでも他馬を全く問題にせず、圧勝してます。まずはご覧あれ、その強さを。↓
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ね、凄いでしょ。騎乗しているクリストフ・スミオンはゴール板を過ぎる前からスタンドに手を振り、投げキッスまでする有様。普通ならこんなことをすれば顰蹙を買いそうなもんですが、まぁ、仕方ないでしょう。
スタンドで観戦するオーナー、アガ・カーン氏も映っていますが、笑いが止まらん状態。ザルカヴァ一色のディアーヌ賞でした。
記録について触れておけば、2着はギャニョア Gagnoa 、3馬身差でした。3着はゴールディコヴァ Goldikova 、4着プロヴィーゾ Proviso 、5着にサタンズ・サーカス Satan’s Circus という結果ですね。
映像で判るように、逃げているのはザルカヴァのペースメーカーを務めたサンジダ Sanjida という馬。ヨーロッパでは、有力な追い込み馬がいる場合、同じ厩舎で同じ馬主(異なる場合もありますが)の馬をペースメーカーとして出走させ、レースを引っ張ることが普通に行われています。追い込み馬がスローペースに落とされて末脚を活かせなくなる危険を避けるためですね。インチキでも何でもありません。
イギリスとフランスでは若干事情が違うようですが、この場合、フランスの馬券はサンジダとザルカヴァはセットになります。万が一本命が負けてペースメーカーが逃げ切った場合でも、配当金は同じになる仕組みですね。
閑話休題。
そのペースメーカーの後ろに付けて先行策を取っているのが、多分プリマ・ルーチェ Prima Luce でしょう。前日のエプサムを制したボルガー師とマニング騎手のコンビです。柳の下に二匹目の泥鰌はいませんでした。直線では完全にバテて着外に沈んでいます。
勝ったザルカヴァ、後ろから4~5番手に付けている、ペースメーカーと同じ勝負服の馬です。いつもより早めに先頭集団を射程距離に捉えているようですが、末脚はケタ違いですね。これで5戦全勝、早くも凱旋門賞の本命に祭り上げられそうな勢いです。実際、今なら7対1とか。
駄洒落を言えば、ザルカヴァの中に凱旋門がある。ZARKAVA ですから、ARK がスペルに挟まれているでしょ。ホントは ARC ですけど、揚げ足は取らないように・・・。
冗談はさておき、アガ・カーンと調教師アラン・ロワイヤー=デュプレにとって、これは仏オークス5勝目に当ります。2005年のディヴァイン・プロポーションズ Divine Proportions に続く1000ギニー=オークス・ダブルですね。
ここでは詳しく触れる余裕はありませんが、ザルカヴァの牝系は名牝プティット・エトワール Petite Etoile の直系に当ります。プティット・エトワールこそアガ・カーン家の基礎を築いた名馬。現オーナーの祖父が所有していたスーパースターでした。
“ザルカヴァは「血統の継承」という、このスポーツの根幹を成す完璧な一例” とはアガ・カーン氏のコメントです。氏によれば“夏から秋にかけては、男馬より女馬のほうが成長するものです” ということですから、今から4ヶ月の間に益々今年の凱旋門賞に近づくに違いありません。
ザルカヴァの血統やアガ・カーン家の歴史などについては、またいずれ紹介するときが来るでしょう。ということで、今日はこれにて落着。
この日行われたその他のパターン・レース二つの結果も紹介しておきましょう。。
ポール・ド・ムーサック賞 Prix Paul de Moussac (GⅢ、3歳、1600メートル)は8頭立て、パスカル・ベイリー厩舎のアルカディアズ・アングル Arcadia’s Angle がクリストフ・ルメール騎乗で逃げ切り。オーナーは二アルコス・ファミリー。
このレースは去年までジョンシェール賞 Prix de la Jonchere として知られたレースです。
エクイディア賞 Prix Equidia (GⅢ、4歳上、1600メートル)は11頭立て、オリヴィエ・ペリエ騎乗の1番人気スピリト・デル・ヴェント Spirito Del Vento が去年に続いてこのレース2連覇。
このレースは去年までシュマン・ド・フェル・デュ・ノール賞 Prix du Chemin de Fer du Nord として知られたレース。オブライエン厩舎から挑戦したマウント・ネルソン Mount Nelson は3着でした。
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