フェア・グラウンズのトライアル・シリーズ

2月25日のアメリカ競馬は、何と言ってもルイジアナ州フェア・グラウンズ競馬場のクラシック・トライアルが注目ですが、その前にフロリダのG戦を一鞍紹介しておきましょう。

ガルフストリーム・パーク競馬場で行われたガルフストリーム・パーク・スプリント Gulfstream park Sprint (GⅢ、4歳上、6.5ハロン)は、fast の馬場に6頭立て。ここは前年のBCスプリント2着馬で、前走マリブー・ステークスを制してGⅠ馬となったマインド・ユア・ビスケッツ Mind Your Biscuits が4対5で単勝2倍を切る1番人気。
スタートでダッシュ良く飛び出したのは2番人気(2対1)のユニアァイド Unified 、後方2番手から外を衝いてマインド・ユア・ビスケッツが懸命に追い詰めましたが、首差で凌いでの逃げ切り勝ちでした。負担重量差6ポンドが響いたかもしれません。最後方から追い上げた5番人気(16対1)のスクアドロン・エー Squadron A が4馬身4分の1差の3着。
ジェームス・ジャーケンス厩舎、ホセ・オルティス騎乗のユニファイドは、去年デビューからベイ・ショア・ステークス(GⅢ)、ピーター・パン・ステークス(GⅡ)と無傷で3連勝した馬。6月のモンマスでペガサス・ステークス(GⅢ)で5着に敗れたあと長期休養に入り、これが8か月ぶりの復帰戦で見事に復活したことになります。もちろん単なるスプリンターではなく、これからの活躍が楽しみな4歳馬と言えるでしょう。

そして注目のフェア・グラウンズ競馬場、この日はG戦4鞍で、うち2鞍はクラシック・トライアル、夫々フェア・グラウンズ・オークスとルイジアナ・ダービーの前哨戦となります。
最初に行われたマインシャフト・ハンデキャップ Mineshaft H (GⅢ、4歳上、8.5ハロン)は、古馬のマイル戦。fast の馬場に1頭が取り消して7頭立てとなり、アローワンス戦を2連勝中のディセンバー・セヴン December Seven が3対1の1番人気。
最低人気(それでも10対1)のライズ・アップ Rise Up がレースを引っ張りましたが、3番手に付けた4番人気(9対2)のダズリング・ジェム Dazzling Gem が先頭で直線。しかし4番で様子を窺っていた5番人気(5対1)のオノラブル・デューティー Honorable Duty が外からこれを捉えると、2頭の間を割るようにして追い込む6番人気(9対1)のインターナショナル・スター International Star を半馬身抑えての逆転勝ち。ハナ差でダズリング・ジェムが3着に粘り、2番手を追走した人気のディセンバー・セヴンは5着敗退。
ブレンダン・ウォルシュ厩舎、ジュリアン・ルパルー騎乗のオノラブル・デューティーは、これがG戦初勝利となる5歳せん馬。去年5戦目で初勝利を挙げてからアローワンス戦に3連勝。前走12月17日には同じフェア・グラウンズで一般ステークス(テナシアス・ステークス)に勝ち、ステークス2連勝となります。

次のレーチェル・アレキサンドラ・ステークス Rachel Alexandra H (GⅡ、3歳牝、8.5ハロン)は、フェア・グラウンズ・オークスを占う一戦。7頭が出走し、去年無敗でデルタ・ダウンズ・プリンセス・ステークス(GⅢ)に勝ったシェーンズ・ガールフレンド Shane’s Girlfriend が7対5の1番人気。前走サンタ・イネズ・ステークス(GⅡ)3着を一叩きされ、仕上げも順調。
3番人気(7対2)のファレル Farrell が逃げ、シェーンズ・ガールフレンドは3番手を追走したものの、次第に順位を下げます。そのまま快調に飛ばしたファレル、4番手から伸びた5番人気(23対1)のマジェスティック・クオリティー Majestic Quality に3馬身半差を付けて逃げ切ってしまいました。3番手から追い込む2番人気(3対2)のヴァラドーナ Valadorna が首差の3着に入り、シェーンズ・ガールフレンドは5着敗退で初めて掲示板を外してしまいました。
ウェイン・カタラーノ厩舎、チャニング・ヒル騎乗のファレルは、去年11月にチャーチル・ダウンズのゴールデン・ロッド・ステークス(GⅡ)に勝ったのに続き、二つ目のG戦勝ち。その間にも今年1月にフェア・グラウンズで一般ステークス(シルヴァーバレットデイ・ステークス)に勝っており、3連勝。次走フェア・グラウンズ・オークスから、既に経験(優勝)しているチャーチル・ダウンズのケンタッキー・オークスに向けて有力な1頭になることは間違いないでしょう。

この日3鞍目のG戦は、芝コースの古馬戦フェア・グラウンズ・ハンデキャップ Fair Grounds H (芝GⅢ、4歳上、約9ハロン)。firm の馬場に1頭が取り消して7頭が参戦し、前走1月末のジョン・B・コナリー・ターフ・カップ(芝GⅢ)で2着、去年ケンタッキー・ダービーにも挑戦(17着)したオスカー・ノミネイテッド Oscar Nominated が6対5の1番人気。
そのオスカー・ノミネイテッドがスタートから先手を取って逃げ切る作戦に出ましたが、これを2番手で追走した3番人気(3対1)のエンタープライジング Enterprising が本命馬を外から捉えると、オスカー・ノミネイテッドに4分の3馬身差を付けて優勝。3番手に付けていた4番人気(8対1)のワン・ミーン・マン One Mean Man が1馬身差の3着に入っています。
ワン・ツー・フィニッシュを達成したマイケル・メイカー厩舎、マインシャフトに続いてジュリアン・ルパルー騎乗のエンタープライジングは、前走1月のガルフストリームで一般ステークス(サンシャイン・ミリオンズ・ターフ・ステークス)で2着でしたが、2014年にはラ・ホヤ・ハンデ(芝GⅢ)に勝っていました。去年はG戦には出走していませんので、久しぶりのG戦での美酒となりました。

土曜日最後は、ルイジアナ・ダービーを占うリズン・スター・ステークス Risen Star S (GⅡ、3歳、8.5ハロン)。3頭の取り消しと除外が出て11頭立てとなり、去年のレムゼン・ステークス(GⅡ)勝馬で3戦2勝のモー・タウン Mo Town が3対2の1番人気。
外枠から多くの馬が第1コーナーに殺到するスタートとなりましたが、3番枠から出た2番人気(3対1)のローカル・ヒーロー Local Hero が向正面では後続を引き離しての大逃げ。これを中団で待機した1番枠スタートの5番人気(8対1)ガーヴィン Girvin が外から捉え、3番手から伸びる2番枠4番人気(8対1)のアントラップド Untrapped を2馬身抑えての優勝。2馬身4分の1差で逃げたローカル・ヒーローが3着に粘りました。珍しく1枠から3枠までが1着から3着を占め、人気のモー・タウンは5着まで。
ジョー・シャープ厩舎、ブライアン・ジョセフ・ヘルナンデス騎乗のガーヴィンは、未だこれが3戦目の新星。去年12月にフェア・グラウンズでデビュー勝し、前走2月4日には同じフェア・グラウンズの一般ステークス(キース・ジー・メモリアル)で2着。これがステークスもG戦も初勝利でした。このG戦で獲得したダービー・ポイントは50。シャープ師はマイケル・メイカー師のアシスタントを務めていた方です。ガーヴィンがダービーに出走すれば、シャープ師にとってはクラシック初挑戦となるでしょう。

 

 

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