未勝利馬が制したブラック=アイド・スーザン

今週のアメリカ競馬は三冠レースの第2弾、プリークネス・ステークスが行われる週で、舞台のメリーランド州ピムリコ競馬場では前日からG戦の祭典となります。
と言っても2週前のケンタッキー州ほどの大騒ぎにはなりませんが、プリークネス前日の5月19日にピムリコ競馬場で行われたG戦は4鞍です。

この日のメインはケンタッキー・ダービーに対するケンタッキー・オークス同様、プリークネスに対するブラック=アイド・スーザンというのが例年の習わし。このひ最初のG戦は古馬牝馬によるアレール・デュポン・ディスタッフ・ステークス Allaire duPont Distaff S (GⅢ、3歳上牝、9ハロン)です。fast の馬場に1頭が取り消して7頭立て。前走アップル・ブロッサム・ステークス(GⅠ)2着のテラ・プロメッサ Terra Promessa がイーヴンの1番人気。
そのテラ・プロメッサ、スタートから先手を取ると、直線では後続を引き離す一方。最後は外に膨れながらも、3番手から2番手へと徐々にポジションを上げた2番人気(5対2)カランバ Carrumba に7馬身半差を付ける圧勝での貫録勝ちです。2番手から3番手を進んだ3番人気(3対1)のモー・グリー Mo’ Green が2馬身4分の1差の3着と続き、7着まで全て人気通りという珍しい結果でした。
スティーヴン・アスムッセン厩舎、ホセ・オルティス騎乗のテラ・プロメッサは、去年ファンタジー・ステークス(GⅢ)勝ちからケンタッキー・オークスに挑戦して10着。2月にも地元オークローンでバヤコア・ステークス(GⅢ)に勝っており、これがG戦4勝目。今回の勝利で、アーカンソー州だけの内弁慶ではないということを証明した形です。

一つ置いて第7レースとして行われたピムリコ・スペシャル Pimlico Special (GⅢ、3歳上、9.5ハロン)き、1頭が取り消して9頭立て。前走サンタ・アニタ・ハンデ(GⅠ)に勝って二つ目のGⅠ制覇を達成したシャーマン・ゴースト Shaman Ghost が、GⅢのここでは負けられないとあって4対5の2倍を切る1番人気。
最内枠から飛び出した2番人気(6対1)のドルファス Dolphus が逃げ、シャーマン・ゴーストは6番手追走。徐々に順位を上げた本命馬が第4コーナーで外から2番手に上がると、直線ではドルファスとの差をジリジリ詰め、最後は首差差し切って人気に応えました。1・2着は共にジェームス・ジャーキンス厩舎の管理馬で、ジャーキンス師のワン・ツー・フィニッシュ。7馬身4分の1の大差が付いて、3番手を進んでいた4番人気(9対1)のコンクェスト・ウインディーシティー Conquest Windycity が3着。
ハヴィエル・カステラノが騎乗したシャーマン・ゴーストは、一昨年のカナダ3歳チャンピオン。今年に入ってG戦を連勝し、ペガサス・ワールド・カップ(GⅠ)で僅差で敗れたアロゲート Arrogate を追う第2の馬に成長していくでしょうか。

続いては3歳牝馬限定戦ながら、スプリントのミス・プリークネス・ステークス Miss Preakness S (GⅢ、3歳牝、6ハロン)。15頭の登録がありましたが、GⅠ馬(スピナウェイ・ステークス)のプリティー・シティー・ダンサー Pretty City Dancer なと2頭が取り消して大混戦。G戦は初挑戦ながら、新馬とアローワンス戦で3戦2勝のアワ・マジェスティー Our Majesty が2対1の1番人気。
短距離戦とあってスタートから激しい先頭争い。その中から8番人気(11対1)のマイ・ミス・シフ My Miss Chiff が飛び出して逃げ粘る所、3番手を追走した4番人気(6対1)のヴァーティカル・オーク Verical Oak が馬場の中央から抜け出し、2番手を進んだアワ・マジェスティーに3馬身4分の3差を付けて優勝。逃げたマイ・ミス・シフが半馬身差の3着に粘り、前残りの競馬となりました。
スティーヴン・アスムッセン厩舎、ホセ・オルティス騎手はこの日、アレール・デュポン・ディスタッフ・ステークスに続くG戦ダブル。勝ったヴァーティカル・オークはこれがG戦初勝利で、通算4勝目。前走プレーリー・メドウズの一般ステークス(ゴールドフィンチ・ステークス)を7馬身4分の3差で圧勝したのに続き、ステークスも2連勝となりました。

そして第11レースがメインのブラック=アイド・スーザン・ステークス Black-Eyed Susan S (GⅡ、3歳牝、9ハロン)。ところが前のレースが終わった後から突然の豪雨が競馬場を襲い、馬場はあっという間に sloppy に悪化。まるで牝馬二冠目に合わせたような天候となってしまいました。ケンタッキー・オークス組からは只1頭の参加も無く11頭立て。これと言った実績馬不在の中から、未勝利勝ちからアローワンス戦を連勝して目下3連勝のシンメリング・アスペン Shimmering Aspen が3対1の1番人気に推されていました。
泥んこ馬場を衝いて5番人気(7対1)のタパ・タパ・タパ Tapa Tapa Tapa が逃げ、シンメリング・アスペンは4番手から3番手、3番手から2番手へと徐々に進出し、遂に直線で先頭。しかし長くは続かず、9番手で待機していた8番人気(12対1)のアクトレス Actress が馬場の中央を一気に追い込むと、同じく8番手から更に外を回って伸びる4番人気(5対1)のライツ・オブ・メディナ Lights of Medina に頭差を付けるサプライズ。3着にも最後方から追い上げた最低人気(26対1)のコーポレート・クイーン Corporate Queen が入る波乱で、前に行った馬はペースが速かったのか、総崩れの結末となりました。ランキのシンメリング・アスペンは7着敗退。
ジェイソン・サーヴィス厩舎、ニック・フアレス騎乗のアクトレスは、未だこれが3戦目という未経験馬。これまで6ハロンで2戦して何れも2着、コーナーを二度回る距離もG戦も初挑戦での快挙となりました。いきなり脚光を浴びることになった同馬、この後はどういうローテーションが待っているのでしょうか。

 

 

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