オブライエン父子のクラシック・トライアル

今から、出掛けていた日曜日に更新する筈だった競馬レポートに取り掛かります。この週末はヨーロッパとアメリカを含め、G戦の総数は何と24鞍。全てを繙くかと思うと気が滅入りますが、一つづつ、かつ適当に区切りながら地道に見ていきましょう。今日中に終わるかは神のみぞ知る。

ということで、先ずは4月8日の土曜日にアイルランド、レバーズタウン競馬場で行われたG戦から。G戦に限れば2鞍ですが、クラシック・トライアルという意味でもう一鞍はオマケ。
この日の馬場は good to yielding 。レバーズタウン1000ギニー・トライアル・ステークス Leopardstown 1000 Guineas Trial S (GⅢ、3歳牝、7ハロン)は1頭が取り消して11頭立てで行われました。ここ6年で3勝しているエイダン・オブライエン厩舎、今年は4頭を送り出し、ライアン・ムーアが選んだプロミス・トゥー・ビー・トゥルー Promise To Be True が9対4の1番人気に支持されていました。フランスのGⅠ戦に2・3着でシーズンを締め括ったクラシック候補のシーズン初戦です。

先ず飛び出したのは2番人気(5対1)、同じオブライエン軍団のハイドランジア Hydrangea でしたが、1ハロン進んだところで10番人気(50対1)コナクト・ガール Connacht Girl が交わしての逃げ。残り2ハロンで一旦は2番手に控えたハイランドジアが再び先頭を奪うと、4番手から伸びる3番人気(6対1)のウインター Winter を頭差抑えての優勝です。3番手を進んだ5番人気(13対2)のリハーナ Rehana が4分の3馬身差で3着に入り、人気のプロミス・トゥー・ビー・トゥルーは6番手でワンペースの儘6着に終わりました。
本命馬こそ仕上がり途上で敗れましたが、終わって見れば1・2着共にエイダン・オブライエン師の管理馬で、勝馬には、これがG戦初勝利となる若手のパドレイグ・ベギーが騎乗していました。去年8月にカラーでデビュー勝ちし、デビュタント・ステークス(GⅡ)、モイグレア・スタッド・ステークス(GⅠ)、フィリーズ・マイル(GⅠ)とトップクラスの2歳戦で3連続2着だった馬。シーズン最後はアメリカ遠征のBCジュヴェナイル・フィリーズ・ターフ14頭立て14着惨敗でしたが、シーズン初戦のここでG戦初勝利となる2勝目を挙げました。
ここまでG戦勝ちが無かったのが不思議なほどのガリレオ Galileo 牝馬ですが、母がスプリンターだったために距離には不安が残りましょう。オブライエン師は、英1000ギニーを目指すとのことでした。

レバーズタウン、もう一つのG戦はダービーのトライアルでもあるバリーサックス・ステークス Ballysax S (GⅢ、3歳、1マイル2ハロン)。去年の勝馬ハーザンド Harzand はダービー馬になっていますし、ガリレオ Galileo を筆頭に過去の勝馬には錚々たる顔ぶれが並び、GⅢには勿体ないほどの注目戦です。9頭が出走し、やはりオブライエン/ムーア・コンビのユカタン Yukatan が2対1の1番人気。2・3番人気共にオブライエン厩舎の馬で、3頭出し全てがクラシックを窺う存在でもあります。
最低人気(33対1)でボルジャー厩舎のレジティムス Legitimus が逃げましたが、5番手を進んだ8番人気(16対1)の伏兵リカインドリング Rekindling が内から鋭く伸び、3番手追走の3番人気(8対1)ダグラス・マッカーサー Douglas Macarthur に半馬身差を付けるサプライズとなりました。人気のユカタンも6番手から追い上げましたが、やはり半馬身差届かず3着まで。2番人気(5対2)のカプリ Capri が4着に入り、エイダン・オブライエンの3頭が2着から4着までを占める結果となっています。

オブライエン軍団の3頭を破ったリカインドリングは、実はオブライエン師の長子で一昨年までは軍団の首戦ジョッキーだったジョセフ・パトリック・オブライエンの管理馬で、ウェイン・ローダン騎乗。ジョセフはこのトライアル、2013年には騎手としてバトル・オブ・マレンゴ Battle of Marengo で制しており、騎手・調教師としての勝利は父超えでしょう。
7月にゴールウェイでデビューし、この日は4着だったカプリの2着。9月にゴウランの1マイル戦で初勝利を挙げ、10月にはクリテリウム・ド・サン=クルー(GⅠ)に遠征して13頭立ての最下位でシーズンを終えていました。実はここまではデヴィッド・ウォッチマン厩舎に所属していましたが、3歳からはジョセフの元に転厩しての初戦でG戦も初勝利。英ダービーに16対1のオッズが出されましたが、リカインドリングが無事エプサムに遠征すれば、ジョセフ・オブライエンにとっては栄光のダービー初出走馬となります。そのダービー、目下の本命は父が管理するチャーチル Churchill で変わっていません。

ところでこの日、二つのG戦に先立って見逃せないクラシック・トライアルが行われています。リステッド戦ながらレバーズタウン2000ギニー・トライアル・ステークス Leopardstown 2000 Guineas Trial S (L、3歳牡せん、1マイル)。7頭立てのトライアル、リステッドなので簡単に触れておくと、5対4で1番人気に支持されたオブライエン厩舎のオーダーオブザガーター Orderofthegarter が、人気に応えて逃げ切っています。シーマス・へファーナンが騎乗し、同じオブライエン厩舎でムーアが選んだタジ・マハール Taj Mahal が最後方から追い込んで3馬身4分の3差の2着。
2歳時は2戦して共に2着。今期初戦のナースで初勝利を挙げた馬で、これまた父がガリレオ。オブライエン師は愛2000ギニーを狙う1頭と見做しているようです。

 

 

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください