ゴドルフィン、キーンランドを席巻

4月15日のアメリカ競馬、オークローン・パーク以外のG戦を纏めて紹介しておきましょう。

春開催真っ盛りのキーンランド競馬場ではG戦3鞍、最初はベン・アリ・ステークス Ben Ali S (GⅢ、4歳上、9ハロン)です。尤も現地では「べナリ・ステークス」と発音するようですが、fast の馬場に8頭が参戦し、前走ガルフストリーム・パークでフレッド・W・フーバー・ステークス(GⅢ)に勝ったバード・ソング Bird Song が9対5の1番人気。
5番人気(7対1)のコンクェスト・エンフォーサー Conquest Enforcer が逃げ、バード・ソングは2番手を追走。第3コーナーで逃げ馬を競り落とした本命が直線で後続を引き離した時はそのまま楽勝かと見えましたが、5番手を進んでいた4番人気(5対1)のウォーターシェド Watershed が外から追い上げ、更には離れた後方2番手で待機していた3番人気(7対2)でレース2連覇を目指すイーグル Eagle も外から急襲。最後はウォーターシェドが抜け出すと、イーグルに2馬身4分の3差を付ける快勝でした。バード・ソングも内でギリギリ粘りましたが、ハナ差の3着惜敗。
キアラン・マクローリン厩舎、パコ・ロペス騎乗のウォーターシェドは、ゴドルフィン生産・所有の5歳牡馬で、これがステークスもG戦も初勝利。ここまでアローワンス戦では3勝と強かった存在でしたが、前走マック・ダイアルミダ・ステークス(芝GⅡ)では9着大敗し、陣営は芝よりダート向きと判断しての挑戦でした。ゴドルフィンとマクローリンのチームは、この日第4レースと第6レースにも勝っており、これでハットトリックを達成したことになります。

続いては、3歳馬によるレキシントン・ステークス Lexington S (GⅢ、3歳、8.5ハロン)。計算上はケンタッキー・ダービーに間に合う前哨戦ですが、むしろ第2冠となるプリークネス・ステークスへのトライアルとしての性格が強いGⅢ戦で、10頭が出走。前走タンパ・ベイ・ダービー(GⅡ)で4着したノー・ドージング No Dozing が9対5の1番人気に支持されていました。
1番枠から出た4番人気(8対1)のレジリアンシー Resiliency がコーナーワークを利してクラブハウス・ターンで先頭。ノー・ドージングは6番手に付けます。2番手を追走していた3番人気(5対1)のタイム・トゥー・トラヴェル Time to Travel が第3コーナーで先頭を奪いましたが、更に外から7番手で待機していた2番人気(2対1)のウエスト・コースト West Coast が一気に先頭に立って直線に入ります。しかしここに鋭く追い上げたのが、前半は先頭から15馬身も離されて後方2番手を追走していた6番人気(11対1)のセニア・インヴェストメント Senior Investment 、最後は3頭のスリリングなゴール前を頭差で制する見事な差し切り勝ちでした。ウエスト・コーストが2着を死守し、首差で本命ノー・ドージングは3着。
ケネス・マクピーク厩舎、チャニング・ヒル騎乗のセニア・インヴェストメントは、2歳時4戦目で初勝利を挙げた馬。前走4月1日のルイジアナ・ダービー(GⅡ)は6着でしたが、前々走のアローワンス戦と併せて3勝目で、G戦初勝利です。このレースの伝統に沿い、ダービーではなくプリークネスに備えてダービー馬を迎え撃つローテーションとなるでしょう。

キーンランドの最後は、古馬牝馬の芝GⅠ戦ジェニー・ワイリー・ステークス Jenny Wiley S (芝GⅠ、4歳上牝、8.5ハロン)。firm の芝に8頭が参戦し、BCフィリー・アンド・メア・ターフでハナ差2着以来となるGⅠ3勝馬レディー・イライ Lady Eli が1対2の断然1番人気。
6番人気(12対1)のキャッチ・ア・グリンプス Catch a Glimpse の逃げを6番手で追走したレディー・イライ、最後は3番手から伸びた2番人気(6対1)のディッキンソン Dickinson との叩き合いになりましたが、休み明けもあってディッキンソンが頭差で大本命を破る金星です。1馬身4分の1差で、4番手を進んでいた5番人気(11対1)のキドゥーラ Quidura が3着。
終わって見れば、勝ったディッキンソンもゴドルフィンの自家生産馬で、キアラン・マクローリン厩舎、パコ・ロペス騎乗。これでゴトールフィン・チームは一日4勝の快挙を達成しました。これがGⅠ戦初勝利となるディッキンソンは、2月にはスワニー・リヴァー・ステークス(芝GⅢ)、3月にもヒルズボロー・ステークス(芝GⅡ)を制しており、G戦3連勝で最高格の勝利を獲得、とんとん拍子の出世と言えるでしょう。母はアシュランド・ステークス(GⅠ)に勝ったリトル・ベル Little Belle で、母娘共にGⅠ馬という快挙でもあります。

土曜の最後は、サンタ・アニタ競馬場のロサンジェルス・ハンデキャップ Los Angeles H (GⅢ、3歳上、6ハロン)。去年は同時期にロス・アラミトス競馬場で行われていましたが、今年はサンタ・アニタ。閉鎖されたハリウッド競馬場の影響は現在でも続いています。fast の馬場、1頭が取り消して出走馬は僅かに4頭という寂しいメンバーで、出走馬中唯一のG戦勝馬ケンタッキアン Kentuckian を抑えて1対2の1番人気に支持されたのは、前走で未勝利を脱したばかりのロード・シンバ Lord Simba という馬。決して新馬じゃありません。
2番人気(2対1)に甘んじたケンタッキアンが逃げましたが、実績より調子、2番手に付けたロード・シンバが逃げ馬を捉えると、3番手を追走した3番人気(5対1)のイーストウッド Eastwood に2馬身4分の1差を付けて人気に応えました。最後方を進んだ4番人気(6対1)のグレーズン・スカイ Grazen Sky が3馬身4分の1差の3着に入り、ケンタッキアンは結局最下位。
ボブ・バファート厩舎、マーチン・ガルシア騎乗のロード・シンバは、3歳デビューでロス・アラミトスで2戦して共に2着。4歳となった今期はサンタ・アニタでも2着した後、前走のサンタ・アニタ未勝利戦で初勝利したばかり。それでも前走は8馬身差の圧勝劇だったため、今回は断然1番人気に支持されての連勝、G戦初制覇に繋がった次第です。

 

 

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