それでもフランケル、それでもゴスデン

今月の英国競馬はニューマーケット、ニューバリーとクラシック・トライアルや古馬の大レースの前哨戦が行われてきましたが、昨日はサンダウン競馬場でG戦が3鞍行われました。
4月28日のサンダウン競馬場は good 。意味通りの「良馬場」ではなく、日本で言う稍重程度の柔らかさ。つまり馬にとってグッドな馬場ということでしょう。イギリスではサラブレッド・ファーストなのです。

最初はゴードン・リチャーズ・ステークス Gordon Richards S (GⅢ、4歳上、1マイル2ハロン7ヤード)。8頭が出走し、去年のこのレースの勝馬で、その後アスコットでプリンス・オブ・ウェーメス・ステークス(GⅠ)を制したマイ・ドリーム・ボート My Dream Boat が11対4の1番人気。去年のクラシック世代が先輩GⅠ馬にどこまで肉薄できるかが見所でしょうか。
逃げたのは4番人気(9対2)で去年のダンテ・ステークス2着馬ドーヴィル Deauville 、良く粘って最後の1ハロンまでリードを保っていましたが、6番手から進めた2番人気(3対1)のユリシーズ Ulysses が末脚を発揮、最後はドーヴィルに1馬身差を付ける快勝です。最後方から追い上げたマイ・ドリーム・ボートは、3馬身差の3着に終わりました。

勝ったユリシーズは、古馬を大成させることでは定評のあるサー・マイケル・スタウト厩舎の4歳馬で、アンドレア・アトゼニ騎乗。去年はダービーに駒を進めたものの12着、そのあとゴードン・ステークス(GⅢ)でG戦に初勝利し、アメリカ遠征のBCターフでは4着していました。典型的なスタウト・タイプで、今期は10ハロンを中心にGⅠ戦を狙いたいところ。差し当たってはアスコットのプリンス・オブ・ウェールズでしょうか。

続いてはクラシック、というよりダービーへの指針となるクラシック・トライアル Classic Trial (GⅢ、3歳、1マイル2ハロン7ヤード)。出走馬は僅か5頭でしたが、3頭がフランケル Frankel 産駒という如何にもなトライアル。しかし日本のファンとして注目なのは、3番人気(11対2)に支持されたフィアース・インパクト Fierce Impact でしょう。名前から想像できるようにディープインパクト産駒で、母はプロキオンステークス(GⅢ)とカペラステークス(GⅢ)に勝ったケイアイガーベラ。関係者に日本人は無く、海外勢が競り落とした馬と思われます。
3頭のフランケル産駒で5対6の断然1番人気に支持されたモナークス・グレン Monarchus Glen は、このレースを7勝しているジョン・ゴスデン師の管理馬で、ケンプトンで今期初戦のオール・ウェザー・ハンデに勝って2勝目を挙げたばかり。

そのモナークス・グレンがスタートから飛ばして逃げましたが、フランケル特有の頑固な素振りを見せて後退し、替わって4番手を進んだ最低人気(12対1)のインターン Intern と、最後方から伸びる2番人気(5対1)のカンコ Cunco の争い。最後は外から迫ったカンコがインターンを頭差差し切ってのサプライズでした。2番手を進んだ4番人気(6対1)のフランクース Frankuus が1馬身差で3着に入り、モナークス・グレンは4着、フィアース・インパクトは5着最下位に終わっています。
終わって見れば、勝馬カンコもフランケル産駒で、やはり今期絶好調ジョン・ゴスデン師の管理馬。師は、このレース8勝目となりました。いつも同馬に騎乗しているジョッキーがフランスで薬物が検出されて騎乗停止の仮処分調のため、今回はかつて見習い騎手チャンピオンになったこともあるロバート・タート Robert Tart 騎乗。ゴスデン師が与えてくれたG戦初騎乗のチャンスを見事モノにし、思わずゴールの瞬間にガッツ・ポーズが飛び出しました。

カンコ、実は去年5月にニューバリーでフランケル産駒での初出走、しかも初勝利を挙げていた話題の1頭でしたが、その後はリステッド戦とG戦で6連敗。しかし2歳終戦となったクリテリウム・ド・サン=クルー(GⅠ)は13頭立ての7着で、この時も8着だったフランクースに先着していたのですから、実績通りの今期初戦勝ちだったと言えるでしょう。
ダービーのオッズは33対1、レース前と変化ありませんでしたが、来月のチェスター・ヴァーズが試金石となりそうです。

最後は、英国平場競走では今期最初のGⅡ戦となるサンダウン・マイル Sandown Mile (bet365 Mile) (GⅡ、4歳上、1マイル14ヤード)。それにしてはやや低レヴェルの感あるメンバーで、1頭が取り消しての9頭立て。人気も割れ、9対2の1番人気には一昨年のクレイヴァン・ステークス勝馬で前走ドンカスター・マイル(リステッド)を制したクール・カンパニー Kool Kompany と、やはり前走リングフィールドでオール・ウェザー・マイル・チャンピオン・ステークス(条件ステークス)に勝ったソヴリン・デット Sovereign Debt とが並んでいました。
先ずクール・カンパニーがダッシュ良く飛び出して逃げましたが、1ハロン地点からはライヴァルのソヴリン・デットが交わして先頭。そのままソヴリン・デットが2番手追走の6番人気(10対1)ガブリアル Gabrial に半馬身差を付ける逃げ切り勝ちです。3着も3番手を進んだ同じ10対1のジャロータ Jallota が流れ込み、クール・カンパニーは8着敗退。

ラス・カー厩舎、ジェームス・サリヴァン騎乗のソヴリン・デットは、今年8歳になるせん馬で、ドバイのあとデヴィッド・ニコルス厩舎からカー厩舎に転じたもの。G戦は一昨年6歳時のコンコルド・ステークス(GⅢ)に続く2勝目です。今期は既にこれが4戦目で、ドバイのGⅡ戦にも勝っていてシーズン早くも3勝目となりました。

 

 

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