2017年チェスター5月開催2日目
ギニーが終わると、英国競馬はダービー・オークスに向けて一斉に動き出します。もちろんギニーもダービー/オークスのトライアルではありますが、これからチェスター、リングフィールド、ヨークと重要なトライアルが目白押し。
ということで、チェスター競馬場もクラシック・トライアルを中心とする3日間開催が始まりました。
かつてはチェシャー・オークス、チェスター・ヴァーズ、ディー・ステークスの全てがGⅢ戦でしたが、現在ではオークスとディーはリステッド戦に降格となり、G戦は2日目のヴァーズだけとなっています。
さて初日の5月10日にはチェシャー・オークス(1マイル3.5ハロン)が行われましたが、リステッド戦なので簡単な結果だけ。
イーヴンの1番人気は例によってオブライエン/ムーアのアルーリングリー Alluringly でしたが、勝ったのは2番人気(2対1)のイネイブル Enable でした。アルーリングリーは1馬身4分の3差で2着。英国馬が常勝オブライエンに一矢報いた形でした。
さて2日目の5月11日、何故か今年から各レースとも数ヤードづつ短くなっています。コースの改修でもあったのでしょうか、理由は掴んでいません。この日のG戦は2鞍で、馬場は good 。
先に行われたハックスレー・ステークス Huxley S (GⅢ、4歳上、1マイル2ハロン70ヤード)は6頭立て。古馬の領域でもオブライエン/ムーアのコンビニはどうしても人気が集まり、ここでも前走ゴードン・リチャーズ・ステークス(GⅢ)で逃げて2着だったドーヴィル Deauville が6対4の1番人気。
この日もスタートから先頭に立ったドーヴィル、最後は先行していた3番人気(4対1)のポエツ・ワード Poet’s Word に差を詰められましたが、首差で逃げ切って人気に応えています。2番人気(100対30)のフォークスウッド Folkswood が2馬身4分の3差で3着。
ドーヴィルは去年のダービーに参戦して11着だった4歳馬で、アメリカに遠征してベルモント・ダービー(GⅠ)に優勝。今期はドバイのドバイ・ターフ7着から始動し、前走がサンダウン、3戦目での初勝利です。そもそも良馬場を得意とするタイプで、前で競馬するのが持ち味。今期も様々なオプションが考えられます。
続いてはダービーへの重要なトライアルとなるチェスター・ヴァーズ Chester Vase S (GⅢ、3歳牡せん、1マイル4ハロン63ヤード)。8頭が出走してきましたが、有力候補で溢れかえっているエイダン・オブライエン厩舎は4頭出し。4頭の優劣はほとんど無いのが実情ですが、やはり主戦のライアン・ムーアが選んだヴェニス・ビーチ Venice Beach という馬が5対2の1番人気に選ばれていました。2,3番人気はオブライエン厩舎以外の馬たちです。
レースはオブライエン軍団の1頭、師の末っ子ドンナチャが騎乗する4番人気(7対1)のジ・アンヴィル The Anvil が逃げ、ヴェニス・ビーチはこれを見るように先行。一時は前が詰まって行き場を失うような場面もあったヴェニス・ビーチでしたが、残り1ハロンで外に持ち出して追い上げると、後方から追い込む又もやオブライエン厩舎の5番人気(8対1)ウイングズ・オブ・イーグルズ Wings Of Eagles に1馬身4分の1差を付けて人気に応えました。粘ったジ・アンヴィルがハナ差で3着に入り、終わって見ればオブライエン師のワン・ツー・スリー。
この結果、先週もレバーズタウンで見たばかりの光景で、特に今年はオブライエンの独占が目立つようです。先週と違うのはガリレオ Galileo の独占とはならなかったこと位で、チェスターは1・3着がガリレオ産駒、2着馬の父はプール・モア Pour Moi です。
この3頭は何れもダービーに向かう可能性がありますが、オブライエン厩舎には明日のディー・ステークス、週末のリングフィールド・ダービー・トライアルにも参戦するダービー候補たちがおり、チャーチル Churchill を含め実際にどの馬がダービーに出走するのかは未だ決まっていません。
中でも勝ったヴェニス・ビーチは、凱旋門賞馬デインドリーム Danedream の半弟という良血で、父がガリレオとくればダービーを楽勝しても文句は言えない血筋。未だ今回が4戦目で、前走ティッペラリーで勝ったのが初勝利という「赤ん坊」ですが、初勝利は2着に5馬身差を付けた圧勝。それがチェスター参戦を決めた要因でしたが、成長すれば何処まで行くのやら。この勝利で、ダービーのオッズは20対1(レース前は33対1でした)。
ムーアがどの馬とコンビを組むのかにも大注目ですネ。
この日のG戦ダブルのオブライエンとムーア。オブライエン師はチェスターヴァーズ5連覇、通算でも8勝と圧倒的な存在感です。
最近のコメント