大荒れの仏1000ギニー

5月13日のヨーロッパ競馬、最後にフランスのドーヴィル競馬場を取り上げます。クラシック・レースの結果から伝えるのが筋でしょうが、遅れ序にこつらもレース順に行きましょう。

仏1000ギニーの前に行われたサン=ジョルジュ賞 Prix de Saint-Georges (GⅢ、3歳上、1000メートル)からです。週末は雨が続き、馬場は最悪の一歩手前、very soft 。10頭立てとなり、去年のキングズ・スタンド・ステークス(GⅠ)の覇者プロフィタブル Profitable が2対1の1番人気。昨シーズン最終戦のアベイ・ド・ロンシャン賞(GⅠ)7着の後ゴドルフィンが購入し、これがシーズン初戦となります。
スタートから飛び出したのは、2番人気(37対10)のサインズ・オブ・ブレッシング Signs Of Blessing 。プロフィタブルは何時でもこれを捉えるべく2番手を追走しますが、馬場も手伝って逃げ馬の脚色は衰えず、最後はむしろ差を開くような快走で、本命馬に2馬身差を付ける鮮やかな逃げ切り勝ちでした。後方3頭の中から追い込んだ4番人気(56対10)のフィンスバリー・スクエア Finsbury Square が4分の3馬身差で3着。

フランソワ・ロホー厩舎、ステファン・パスキエ騎乗のサインズ・オブ・ブレッシングは、去年8月のドーヴィルでモーリス・ド・ギースト賞(GⅠ)を制していた6歳せん馬で、この馬もこれがシーズン初戦。他馬より11ポンドも重いハンデ差(GⅠ勝のペナルティー)も全く苦にしませんでした。GⅠ馬がGⅢも勝つ事例でしょうか。
去年はドーヴィルの後アスコットに遠征してブリティッシュ・チャンピオンズ・スプリント(GⅠ)が4着、更に香港スプリント(GⅠ)にも遠征しての5着でシーズンを終えていました。次なる目標はロイヤル・アスコット、去年は6ハロンのダイヤモンド・ジュビリー(GⅠ)に挑んだものの最後の坂に泣いて3着でしたから、今年は5ハロンのキングズ・スタンド・ステークスで最短距離のGⅠ戦を目指す予定です。

そして、本来なら昨日のハイライトになるべきプール・デッセ・デ・プーリッシュ Poule d’Essai des Pouliches (GⅠ、3歳牝、直線1600メートル)。通称フランス1000ギニーで、前以て枠順を紹介したように18頭立て。当初から予想されたように、大混戦となりました。
実績から判断して、42対10の1番人気はグロット賞(GⅢ)勝馬で、マルセル・ブーサック4着のセンガ Senga 。アンプルーダンス賞(GⅢ)に勝って2戦2勝、アンドレ・ファーブル厩舎のヴィア・ラヴェンナ Via Ravenna が43対10の2番人気で続いていました。センガは距離面には問題がありませんが、不良馬場については走ってみなければ判らない、というのが陣営の見解。

直線コースの多頭数の常、レースはスタートからスタンド寄りのグループと馬場中央の二手に分かれる展開となり、暫く進んだところで二つのグループが合流します。
スタンド側を逃げるのは、最低人気(76対1)のアマーニ Amaani 、一方の馬場中央は8番人気(169対10)のチャーム・アピール Charm Appeal が馬群を引っ張ります。中央グループの先行馬群に付けていたセンガでしたが、やはり馬場に足を取られてか追い出しても伸びず、スタンド側のポケットに入ったような位置取りで先行していた13番人気(28対1)の伏兵プレシューズ Precieuse が冷静に瞬発力を発揮して残り100ヤード辺りで抜け出すと、最後は外に寄れ気味ながらも、中央グループの後方から追い込んだ4番人気(84対10)のシー・オブ・グレース Sea Of Grace に1馬身4分の3差を付けるサプライズ。
やはり中央グループの後方を進んだ7番人気(153対10)のユーリスティック Heuristique が4分の3馬身差で3着に入り、センガは11着、ヴィア・ラヴェンナも7着に沈む大波乱となりました。
その他人気どころでは、3番人気(7対1)でドイツから遠征の遠征馬デレクテイション Delectation は16着、オブライエン厩舎の2頭、ローリー・ポリー Roly Poly とレイン・ゴッデス Rain Goddess も夫々6着と5着でした。

ほとんどの人が下馬評にも挙げていなかったプレシューズは、これがGⅠ初制覇となるファブリス・シャペ師の管理馬で、鞍上はヴェテランのオリヴィエ・ペリエ。ペリエ騎手は仏1000ギニー3勝目となります。シャペ師はロベール・コレ厩舎でアシスタントを務めていた方だそうな。レース前、師は“スタミナはやってみなければ判らないが、スピードなら負けないし、重馬場も得意”と語っていましたっけ。
2歳時は3戦して全て2着、距離も1200メートルと1100メートルで、馬場は good 、soft 、heavy の重3コース。今期初戦のフォンテンブロー1200メートルを Very soft の馬場で制し、前走4月9日のシジー賞(GⅢ、馬場は good)で2着。スタミナも何も、1200メートル以上の距離を体験したのが今回初めてという未知数でした。
プレシューズにはコロネーション・ステークスの登録が無く、ロイヤル・アスコットに追加登録してまで遠征するかは不明。一方、アイルランドから遠征して2着に入ったシー・オブ・グレースは、間違いなく愛1000ギニーに参戦するとハッガス師はキッパリ。そこでウインター Winter との対決が待っています。

 

 

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください