プリークネスの後もＧⅠ戦は続く
先週プリークネス・ステークスが終わり、ベルモント・ステークスまでの２週間は比較的静かな週末、と思いきや、今週はメモリアル・デイの３連休で３日間連続のＧ戦開催となるアメリカ競馬です。
ということで５月２７日の連休初日は４つの競馬場でＧ戦７鞍。順不同で取り上げていきます。
先ずシカゴ、アーリントン・パーク競馬場ではアーリントン・クラシック・ステークス Arlington Classic S (芝ＧⅢ、３歳、８．５ハロン)が行われました。このレースとペアになっていたマトロン・ステークスは先週チャーチル・ダウンズで行われており、古くからのファンには違和感も。馬場が yielding と渋ったためか３頭が取り消して６頭立て。無人気が接近した６頭の中で、前走トランシルヴァニア・ステークス(芝ＧⅢ)では６着だったカウボーイ・カルチャー Cowboy Culture が５対２の１番人気。
２番人気(３対１)のファスト・アンド・アキュレート Fast and Accurate が逃げましたが、内の４・５番手を追走していた本命カウボーイ・カルチャーが第４コーナーで外に持ち出すと、大外から一気に伸び、６番手から追い込む５番人気(６対１)ゴージャス・キッテン Gorgeous Kitten に５馬身４分の３の大差を付けて堂々１番人気に応えました。半馬身差で５番手を進んだ３番人気(３対１)のパーラー Parlor が３着。
ブラッド・コックス厩舎、シャウン・ブリッジモハーン騎乗のカウボーイ・カルチャーは、これがＧ戦初勝利。デビューから３連勝でフェア・グラウンズの一般ステークス(キース・ジー・メモリアル)に勝ち、Ｇ戦初挑戦のパーム・ビーチ・ステークス(芝ＧⅢ)で７着、前走のトランシルヴァニアを経てのＧ戦初勝利となりました。
次はケンタッキーから、チャーチル・ダウンズ競馬場のウイニング・カラーズ・ステークス Winning Colors S (ＧⅢ、３歳上牝、６ハロン)。fast の馬場に１頭が取り消して７頭立て。前走同じチャーチルで一般ステークス(ロクセラーナ・ステークス)に勝ったフィンリーズラッキーチャーム Finley’sluckycharm が１対５の圧倒的１番人気。
その本命馬がスタートから先手を取ると、６番手から追い込む５番人気(１８対１)のマイラ Mayla に５馬身半の大差を付けて人気通りの逃げ切り勝ち。７番手から伸びた４番人気(１０対１)のスイートグラス Sweetgrass が４分の３馬身差で３着に入っています。
ブレット・カルホウン厩舎、ブライアン・ジョセフ・ヘルナンデス騎乗のフィンリーズラッキーチャームは、デビューから２連勝で臨んだレーチェル・アレクサンドラ・ステークス(ＧⅡ)で７着。そのあと３連勝でラ・ブレア・ステークス(ＧⅠ)３着で３歳シーズンを終え、今期は上記一般ステークスから始動して２戦２勝。短距離古馬牝馬では将来も楽しみな１頭でしょう。
この日３つ目は、モンマス・パーク競馬場のレッド・バンク・ステークス Red Bank S (芝ＧⅢ、３歳上、８ハロン)。good とやや渋った馬場に３頭が取り消しての１０頭立て。前走アップルトン・ステークス(芝ＧⅢ)に勝ったオール・インクルーデッド All Included が２対１の１番人気。
レースは５番人気(９対１)のアイリッシュ・ストレート Irish Strait の逃げで始まり、オール・インクルーデッドは８番手から末脚に賭けます。しかしその末脚、今回は不発で終わり、結局はアイリッシュ・ストレートが５番手から伸びた２番人気(３対１)のシンクロニー Synchrony に２馬身４分の１差を付けての逃げ切り勝ち。２番手を追走していた３番人気(７対２)のローズ・ブライアー Rose Briar が更に２馬身４分の１差で３着に入り、オール・インクルーデッドは８着惨敗に終わりました。
グレアム・モーション厩舎、オルランド・ボカチカ騎乗のアイリッシュ・ストレートは、これが５勝目で前の４勝は全てアローワンス戦でのもの。今年２月タンパ・ベイ・ステークス(芝ＧⅢ)がＧ戦初挑戦で３着、前走ローレル競馬場の一般ステークス(ヘンリー・クラーク・ステークス)４着からの巻き返しです。アイリッシュ・ストレートの半弟に当たるアイリッシュ・ウォー・クライ Irish War Cry は、今年ウッド・メモリアル・ステークス(ＧⅡ)に勝ってクラシック路線で活躍中。弟に一足遅れてＧ戦勝馬となりました。
土曜の最後は、カリフォルニアのサンタ・アニタ競馬場から４鞍。最初のデイトナ・ステークス Daytona S (芝ＧⅢ、３歳上、約６．５ハロン)は、去年は施行されず２年振りの開催となります。firm の馬場に２頭が取り消して僅か４頭立て。目下３連勝中のストーミー・リベラル Stormy Liberal が１対２で１本被りの１番人気。
２番人気(９対５)アンビシャス・ブリュー Ambitious Brew の２番手に付けたストーミー・リベラル、第４コーナーで逃げ馬に並び掛けると、粘るアンビシャス・ブリューを外から首差競り落として人気に応えました。スタート直後は逃げながらも３番手に控えた４番人気(１０対１)のブラックジャックキャット Blackjackcat が１馬身４分の１差で３着。
ピーター・ミラー厩舎、ノルベルト・アロヨ騎乗のストーミー・リベラルは、４連勝でＧ戦は初勝利。前走サンタ・アニタの下り坂一般ステークス(サイレン・ルアー・ステークス)に続くステークス２連勝となります。
サンタ・アニタの二つ目は、ＧⅠ戦のゲイムリー・ステークス Gamely S (芝ＧⅠ、３歳上牝、９ハロン)。１頭取り消しの５頭立てで、ここは既にＧⅠ戦に３勝している強豪レディー・イライ Lady Eli が３対５の圧倒的１番人気。
逃げる２番人気(８対５)アヴェンジ Avenge を２番手でマークしたレディー・イライ、余裕で逃げ馬を交わすと、最後方から追い込む３番人気(８対１)のグッドイヤーフォーロージズ Goodyearforroses を半馬身抑えて人気に応えました。逃げたアヴェンジが３馬身４分の１差で３着。
チャド・ブラウン厩舎、イラッド・オルティス騎乗のレディー・イライは、これがＧⅠ戦４勝目。最初は２歳時のＢＣジュヴェナイル・フィリーズ・ターフ、二つ目は３歳時のベルモント・オークス、去年はフラワー・ボウル・ステークスで３勝目を挙げ、今年はここ。毎年一つは芝のＧⅠ戦に勝っている計算で、今期初戦の前走ジェニー・ワイリー・ステークス(芝ＧⅠ)２着を使われ、未だ快進撃が続きそうです。
続いても下り坂芝コースのモンロヴィア・ステークス Monrovia S (芝ＧⅡ、３歳上牝、約６．５ハロン)で、去年は１月３日に行われていたレースが思い出したように５月になって行われました。１頭が取り消して８頭立て、去年１２月のラ・ブレア・ステークス(ＧⅠ)で３着した後２連勝中のエノラ・グレイ Enola Gray が６対５の１番人気。
レースは６番人気(１６対１)のウォッチ・ディス・キャット Watch This Cat が逃げる形となり、後方２番手から内ラチ沿いに伸びた２番人気(８対５)のイリュミナント Illuninant が、５番手から抜けた７番人気(２５対１)のコニアー Coniah に半馬身差を付ける番狂わせ。最後方から追い込んだ４番人気(１３対１)のアニタ・パートナー Anita Partner が１馬身４分の１差の３着に食い込み、人気のエノラ・グレイは４番手を進むも伸びず５着敗退。
マイケル・マカーシー厩舎、フラヴィアン・プラット騎乗のイリュミナントは、実は去年のゲイムリー・ステークスを制したＧⅠ馬。去年はジェニー・ワイリー・ステークス(芝ＧⅠ)３着の後ゲイムリーに勝ちましたが、今年は前走ジェニー・ワイリーで７着に敗れ、一気に短距離戦を使ってきたのが人気の盲点だったと言えそうです。
そして最後が、ゴールド・カップ・アット・サンタ・アニタ The Gold Cup at Santa Anita (ＧⅠ、３歳上、１０ハロン)。去年は６月最終週に行われていた旧ハリウッド・ゴールド・カップ、今年は１か月前倒しと、どうもカリフォルニアのレーシング・カレンダーは安定しません。fast の馬場に２頭が取り消して７頭立て。去年のアイオワ・ダービー(ＧⅢ)の勝馬で、その後ハスケル・インヴィテーショナルとトラヴァース・ステークスで２戦連続ＧⅠ戦で２着した実力馬アメリカン・フリーダム American Freedom が８対５の１番人気。
そのアメリカン・フリーダムが逃げ切る作戦でハナに立ちましたが、速いペースで飛ばす３頭を４番手で見ていた４番人気(７対１)のキューピッド Cupid が外から追い込み、同じく５番手から伸びた３番人気(７対２)のフォロー・ミー・クレフ Follow Me Clev に３馬身４分の１差を付ける逆転劇となりました。これも６番手から追い込んだ６番人気(１２対１)のハード・エイシズ Hard Aces が２馬身４分の３差で３着に入り、アメリカン・フリーダムは５着敗退。
ボブ・バファート厩舎、ラファエル・べハラノ騎乗のキューピッドは、本命馬と同じく去年のクラシック戦線で活躍した４歳馬。レベル・ステークス(ＧⅡ)に勝って挑んだアーカンソー・ダービー(ＧⅠ)は１０着でしたが、三冠はパスしてウエスト・ヴァージニア・ダービー(ＧⅡ)とインディアナ・ダービー(ＧⅡ)に連勝。９月のペンシルヴァニア・ダービー(ＧⅡ)８着のあと長期休養に入り、今回が休み明けのシーズン初戦でした。もちろんＧⅠ戦は初勝利。
最近のコメント