連日のダブル、愛1000ギニーもウインター
チャーチルの英愛ギニー・ダブルに沸いた土曜日に続き、昨日の日曜日もカラー競馬場で愛1000ギニーが行われました。この日もG戦は3鞍で、既に結果は伝わっているでしょうからレース順に回顧していきましょう。
前日は雨で馬場はかなり重くなっていましたが、24時間後にはかなり改善され、発表は yielding 、周回コースは good to yielding ということで、調教師たちも驚くほどだったようです。それでも重馬場には違いありませんが・・・。
最初は、今期カラー競馬場で行われる最初の古馬GⅠ戦のトトソルズ・ゴールド・カップ Tattersalls Gold Cup (GⅠ、4歳上、1マイル2ハロン110ヤード)。本来は強豪マインディング Minding が使う予定でしたが、詳細は不明ながら厩舎ではセットバックがあったようで欠場。替わってオブライエン師は3頭を出走させてきました。
8頭立ての中、それならばと7対2の1番人気に支持されたのは、英国から遠征してきたデコレイテッド・ナイト Decotated Knight 。未だGⅠ戦の勝鞍はありませんが、前走ドバイ・ターフ(GⅠ)でオブライエンの最有力候補ドーヴィル Deauville に先着しており、オブライエンの副将格なら勝負になるという判断でしょう。
4番人気(9対2)のサクセス・デイズ Success Days が逃げましたが、4番手を追走したデコレイテッド・ナイトが予定通り抜け出すと、後方から追い込む並んだ2番人気でオブライエン軍団のサムハウ Somehow に1馬身4分の1差を付けて人気に応えました。2番手を進んだ同じ2番人気のドーヴィルが2馬身4分の1差で3着。
ロジャー・チャールトン厩舎、アンドレア・アッゼニ騎乗のデコレイテッド・ナイトは、これで目出度くGⅠホースとなった5歳馬。去年の春にロジャー・ヴァリアン厩舎からチャールトン師の管理下に転じ、7月にレバーズタウンに遠征してメルド・ステークス(GⅢ)でG戦初勝利でシーズンを終了。
今期はリングフィールドでウインター・ダービー・トライアル(リステッド)に勝ち、3月にはドバイに遠征して芝のGⅡと前年から3連勝。上記前走ドバイ・ターフは6着でしたが、この時ドーヴィルが7着だったという訳です。
チャールトンはこのレース、2013年と2015年にアル・カジーム Al Kazeem で制しており、3度目のゴールド・カップとなりました。
続いては、愛ダービーのトライアルとなるガリニュール・ステークス Gallinule S (GⅢ、3歳、1マイル2ハロン)。9頭立てでここもオブライエン厩舎が3頭を送り込んできましたが、成績的に目立つ馬ではなく、ジェシカ・ハリントン厩舎で2連勝中のレッド・ラベル Red Label が2対1の1番人気。
逃げたのはオブライエン厩舎の5番人気(8対1)フィン・マックール Finn McCool でしたが、5番手で待機した同じオブライエンの2番人気(5対1)ホームズマン Homesman が追い上げ、これも4番手から伸びる6番人気(9対1)のボーン・トゥー・プレイ Born To Play との叩き合い。最後はホームズマンが頭差競り勝って優勝し、逃げたフィン・マックールが2馬身差で3着に粘りました。3番手でマークしていたレッド・ラベルは5着敗退。
3戦目にライムリックで初勝利を挙げたオブライエン厩舎のホームズマンには、ライアン・ムーアが騎乗。前走カラーのマイル一般戦では勝馬に4馬身半も離された2着に終わっていましたが、今回は初めてブリンカーを装着したのが奏功したようです。
オブライエン師は10ハロンが適距離との見方ですが、愛ダービーを視野に入れているとのこと。あるいはアスコットのキング・エドワード7世ステークスに向かうかもしれません。
そしてアイルランド1000ギニー Irish 1000 Guineas (GⅠ、3歳牝、1マイル)。枠順で紹介したように8頭立てとクラシックの割には小頭数でしたが、英1000ギニーを快勝したウインター Winter が英愛ダブルを目指してきたため。ニューマーケットではローダン騎手が騎乗していましたが、今回はライアン・ムーアに乗り替わって8対13の断然1番人気に支持されています。
スタート良く飛び出したのは3番人気(7対1)、英1000ギニー10着のハイドランジア Hydrangea でしたが、2ハロン進んだ地点で2番人気(6対1)のリハーナ Rehana がハナを主張しての逃げ。しかし直線、それまで4番手に付けていたウインターが外からスパートすると勝負あり。大本命はグングン加速すると、後方から追い込む5番人気(14対1)のローリー・ポリー Roly Poly に4馬身4分の3差を付ける圧勝でギニー・ダブルを達成しました。3頭が雪崩れ込んだ2着争いは、ローリー・ポリーに頭差で2番手に控えたハイドランジア、更にハナ差でジョセフ・オブライエン厩舎のイントリケイトリー Intricately が続いています。
終わって見ればエイダン・オブライエン厩舎のワン・ツー・スリー。なお、リハーナは5着で入線しましたが、2ハロン地点でのコース取りが6着入線のビーン・フェーザ Bean Feasa の進路を妨害したと判定され、5・6着の着順が入れ替えとなっています。リハーナに騎乗したパット・スマーレンは、不注意騎乗の廉で1日の騎乗帝処分が科せられました。
エイダン・オブライエン師は愛1000ギニー7勝目。師が最初にクラシックを獲ったのが20年前、1997年クラシック・パーク Classic Park の愛1000ギニーが最初で、この年はデザート・キング Desrt King で愛2000ギニーを勝ってギニー・ダブルを達成しています。
その後ギニー・ダブルは2001年、2008年、2011年にも完成させており、今回が5度目。一方、英愛1000ギニー・ダブルは、アトラクション Attraction 、フィンシール・べオ Finsceal Beo に続き、ウインターが3頭目の偉業となります。
この結果イギリスもアイルランドも、ギニー戦線は全てエイダン・オブライエン厩舎の独占、ガリレオ Galileo 産駒の独壇場となり、「ダブル」が二重・三重・四重にも重なる特異な年になったと言えるでしょう。
ウインターの次なる目標は、ロイヤル・アスコットのコロネーション・ステークス(GⅠ)。オッズは5対2で、仏1000ギニー馬や新たに成長してくる同世代マイラーとの頂上決戦に臨みます。
最近のコメント