将来の大物?2頭
6月18日のアメリカ競馬は、3つの競馬場で夫々G戦が一鞍づつ、合計3鞍のG戦が行われました。例によって東から西へ。
ベルモント・パーク競馬場で行われたポーカー・ハンデキャップ Poker H (芝GⅢ、4歳上、8ハロン)は、yielding と軟化した芝コースに2頭が取り消しての5頭立て。前走ピムリコのディキシー・ステークス(芝GⅡ)で2着したプロジェクテッド Projected がイーヴンの1番人気。
3番人気(3対1)のカタパルト Catapult が一時後続を5馬身も離しての大逃げを打ちましたが、2番手を追走した2番人気(僅差の3対1)のバラー・ロックス Ballagh Rocks が第4コーナーで逃げ馬を射程圏内に入れると、3番手から内を衝いて伸びる本命馬に詰め寄られながらも首差制しての優勝。3着は4馬身の大差が付いて最後方から追い込んだ4番人気(4対1)のナイト・プロウラー Night Prowler が入りました。
ウイリアム・モット厩舎、ホセ・レズカノ騎乗のバラー・ロックスは、ステークスもG戦も初挑戦となった前々走メイカーズ46マイル(芝GⅠ)でいきなり4着。続く前走ターフ・クラシック(芝GⅠ)は7着に敗れたものの、挑戦3戦目でのG戦初勝利となりました。
続いてモンマス・パーク競馬場で行われたペガサス・ステークス Pegasus S (GⅢ、3歳、8.5ハロン)は、fast の馬場に5頭立て。出走馬中只1頭のG戦勝馬で、デビューから3戦して負け無しのタイムライン Timeline が1対9と単勝元返しに近いような大本命。
スタートから先頭に立ったタイムライン、3番手を追走した2番人気(6対1)のトーク・ロジスティックス Talk Logistics が付いて行こうとしましたが所詮は敵ではなく、結局持ったままで大本命が2番人気馬に3馬身半差を付ける悠々の逃げ切り勝ち。本気で追えばもっと差は開いたでしょう。3着には2番手を進んだ3番人気(8対1)のオーナー・ザ・フリート Honor the Fleet が入りましたが、2着との差は何と13馬身4分の1。
チャド・ブラウン厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のタイムラインは、前走5月13日にピーター・パン・ステークス(GⅢ)を制した時に紹介した新星で、いきなり長距離のベルモント・ステークスに挑戦する愚は避けて、ここで着実に距離延長を経験させてきました。夏のゴールはハスケル・インヴィテーショナル(GⅠ)で、ここでクラシック戦線で好走してきた同期の馬たちと激突することが期待されています。無敗のままGⅠホースになれるか。
最後はサンタ・アニタ競馬場からデザート・ストーマー・ステークス Desert Stormer S (GⅢ、3歳上牝、6ハロン)。初めて聞く名前のG戦ですが、創設は1997年、今年21回目でGⅢに格上げされた牝馬の短距離戦です。fast の馬場に5頭が出走し、G戦3勝馬で前々走ラス・フローレス・ステークス(GⅢ)に勝っているプリティー・エヌ・クール Pretty N Cool が4対5の断然1番人気。
レースは最内枠スタートの最低人気(10対1)インヴェステッド・プロスペクト Invested prospect が逃げて引っ張ります。2番手を追走していた本命プリティー・エヌ・クールが逃げ馬を捉えて直線で2馬身差を取って先頭に立ちましたが、3番手に付けていた2番人気(3対1)のベンダブル Bendable が外から一気に伸びて本命馬を並ぶ間もなく捉えると、最後方から内ラチ沿いに追い込む3番人気(5対1)のコニアー(カナイアー) Coniah に1馬身半差を付けて優勝。最後は力尽きたプリティー・エヌ・クールは更に1馬身4分の3差の3着に終わりました。
リチャード・マンデラ厩舎、マイク・スミス騎乗のベンダブルは、これがG戦初勝利となる4歳馬。去年10月のG戦初挑戦となったサラブレッド・クラブ・オブ・アメリカ・ステークス(GⅡ)で3着したものの、軽度の骨折が判明。そのため長期休養入りし、これが今期のデビュー戦。通算成績は6戦4勝2着1回3着1回と未だキャリアも浅く、故障が癒えたこれからが本領発揮の正念場でしょう。古馬牝馬の短距離戦に新たなスターが誕生しそうな期待が高まるレース内容でした。
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