雨のスコットランド、快晴のイングランド

9月23日の英国競馬は2つの競馬場からG戦をレポートする予定でしたが、スコットランドのエア競馬場は連日の雨のため、木曜日からの開催3日間は全てキャンセルとなりました。
この開催は名物のハンデ戦エア・ゴールド・カップが土曜日のメインで、同じカードで開催唯一のG戦となるファース・オブ・クライド・ステークス Firth of Clyde S (GⅢ、2歳牝、6ハロン)も組まれていましたが、全て中止となっています。
ただエア・ゴールド・カップについては翌週、30日の土曜日にヘイドック競馬場で代替されることが決まったようですが、G戦については不明。現時点で振替競馬の概要が決まっていないようなので、また改めて報告することになるかもしれません。

一方、同じ英国連邦を構成するイングランドのニューバリー競馬場は快晴に恵まれたようで、good の馬場で予定通り3鞍のG戦が行われました。レース順に紹介していきましょう
最初はレガシー・カップ・ステークス Legacy Cup S 、というより以前のアーク・トライアル The Arc Trial (GⅢ、3歳上、1マイル3ハロン)として取り上げましょう。「凱旋門賞トライアル」という名称でしたが、実質的にも時期的にも凱旋門賞とは無縁で、レース名も変更になったものと思われます。
11頭が出走し、一昨年ドイツでGⅠ戦(ベルリン大賞典)に勝ったこともある6歳馬のセカンド・ステップ Second Step が9対2の1番人気。前走ウインザーのリステッド戦に勝って4歳時の体調に戻ったと期待されていました。

5番人気(7対1)のファブリケート Fabricate が逃げてセカンド・ステップもこれを先行して機を窺いましたが、後方から追い込んだ3番人気(13対2)デザート・エンカウンター Desert Encounter との叩き合いに。最後はデザート・エンカウンターがセカンド・ステップを首差抑えて勝っていました。7番人気(10対1)のシークレット・ナンバー Secret Number が4分の3馬身差で3着。
デヴィッド・シムコック厩舎、シーン・レヴィー騎乗のデザート・エンカウンターは、これがG戦初勝利となる5歳せん馬。今期はアスコットのリステッド戦に勝って始動し、前々走エクリプス・ステークスで3着と健闘したものの、前々走キングジョージでは6着と大敗していました。GⅠ戦を二度経験したことが生きたのでしょうか。

二つ目のミル・リーフ・ステークス Mill Reef S (GⅡ、2歳、6ハロン)は、1頭が取り消して9頭立て。モールコムとジムクラックで何れも2着し、前走ケンプトンでサイレニア・ステークス(GⅢ)に勝ったインヴィンシブル・アーミー Invincible Army が5対2の1番人気。
最低人気(50対1)のレベル・ストリーク Rebel Streak が逃げましたが、好スタートから一旦は後方に下げていた2番人気(100対30)のジェームス・ガーフィールド James Garfield がスムースな走りで抜け出すと、人気のインヴィンシブル・アーミーに4分の3馬身差を付けて優勝。途中から逃げを打った4番人気(15対2)のネボ Nebo が半馬身差の3着に粘りました。

勝馬を管理するジョージ・スコット調教師は、今年29歳、開業して3年目の若手で、これが嬉しいG戦初勝利。実は先週結婚したばかりだそうで、花嫁の父が同馬のオーナーでもあります。騎乗したのは友人でもあるランフランコ・デットーリで、例によってフライング・ディスマウントでスコット師を祝福しています。
ジェームス・ガーフィールドももちろんG戦は初勝利で、3戦目で初勝利をげ、前走ヨークのアコーム・ステークス(GⅢ)で2着に入った成長株。このあとアメリカに遠征してBCジュヴェナイル・ターフを目指すそうです。と言ってもハネムーンを兼ねているわけではなく、新婚旅行はショパンに倣ってマジョルカ島だそうですよ。来年は2000ギニーを目指すのか、それとも短距離に留まってコモンウェルスに向かうか、現時点では未だ決まっていません。

ニューバリーの最後はワールド・トロフィー・ステークス World Trophy S (GⅢ、3歳上、5ハロン34ヤード)。17頭もの多数が揃い、難解なメンバーから去年の勝馬コタイ・グローリー Cotai Glory が9対2の1番人気に支持されていました。去年から1年間勝鞍がありませんが、ここは2連覇に期待と言うことでしょう。
レースは5番人気(8対1)のテイク・カヴァー Take Cover が逃げ、先行から差を詰めるコタイ・グローリーにそのまま4分の3差を付けて逃げ切ってしまいました。後方から追い込んだ2番人気(5対1)のムスミール Muthmir が同じく4分の3馬身差で3着。

勝ったテイク・カヴァーは、デヴィッド・グリフィス厩舎、デヴィッド・アラン騎乗の何と10歳せん馬で、2014年と去年のキング・ジョージ・ステークス(GⅢ)を制している大古参のスプリンター。G戦はこれが3勝目で、前走ビヴァリーのリステッド戦に続く2連勝でもあります。来年も現役を続行するということで、熟馬の貫禄と言う所でしょうか。

 

 

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