オブライエン、1-2-3-4でGⅠ戦24勝目
1日遅れでニューマーケット・セザレウィッチ開催初日をレポートしましたが、直ぐに続けて2日目を紹介しましょう。これで追い付いたことになります。
10月14日、ニューマーケット競馬場の馬場は good 、所により good to firm と更に回復し、3鞍のG戦が行われました。これでニューマーケット競馬場で行われるG戦は全てのスケジュールを終えました。
最初のオータム・ステークス Autumn S (GⅢ、2歳、1マイル)は、1頭が取り消して8頭立て。2走目のソラリオ・ステークス(GⅢ)こそ不利で4着と敗れましたが、その他は2戦2勝のパーサー Purser が鞍上デットーリを得て9対4の1番人気。
6番人気(10対1)の伏兵ドリーム・トゥデイ Dream Today が逃げて良く粘りましたが、中団を進んでいた2番人気(11対4)のガイヤース Ghaiyyath が追い込んで残り1ハロンでこれを捉えると、そのまま1馬身4分の3差を付ける快勝です。人気のパーサーも中団から残り1ハロンで3番手まで上がりましたがそのまま、2馬身半差の3着に終わりました。
チャーリー・アップルビー厩舎、ウイリアム・ビュイック騎乗、ゴドルフィンのガイヤースは、ドンカスターのデビュー戦が3着。前走2戦目のニューマーケットで初勝利を挙げ、これで3戦2勝。全て1マイルに使われてきたステイヤー・タイプと言えそうです。母ナイタイム Nightime は愛1000ギニー馬、姉ズーコーヴァ Zhukova は今夏、牡馬たちを抑えてマンノ・ウォー・ステークス(芝GⅠ)を制しています。来年のだーびーのオッズは、レース前の25対1から20対1に上がりました。レーシング・ポスト・トロフィーにも登録がありますが、今期はこれで終戦となる可能性が大きそうです。何れにしてもシェイク・モハメッド総裁が決断されるでしょう。
2日目のメインは、間違いなく来年のクラシックに繋がるであろうデューハースト・ステークス Dewhurst S (GⅠ、2歳牡牝、7ハロン)。9頭が出走し、オブライエン厩舎も4頭出しで臨みましたが、ここは前走ヴィンテージ・ステークス(GⅡ)を圧勝して2戦無敗のエキスパート・アイ Expert eye が4対7の断然1番人気。ハーリッド・アブダッラー氏のジャドモント・ファーム、名匠サー・マイケル・スタウト師が自信を持って来年のクラシック候補と断言する1頭です。
ダッシュ良くスタンド側から飛び出したのが、2番人気(5対1)のユーエス・ネイヴィー・フラッグ U S Navy Flag 。エキスパート・アイはやや掛かりながらも1ハロン地点から2番手に上がってライヴァルを追います。しかし何故か大本命は精彩を欠き、最初に手が動くとズルズル後退。結局敗因不明のまま9着最下位と惨敗し、陣営の期待を裏切ってしまいました。
一方のユーエス・ネイヴィー・フラッグ、そのまま快調に飛ばすと、先行する最低人気(50対1)のメンデルスゾーン Mendelssohn に2馬身半差を付ける逃げ切り勝ち。後方から伸びた4番人気(9対1)のシーヘンジ Seahenge が同じく2馬身半差で3着に入り、4着した5番人気(20対1)スリーアンドフォーペンス Threeandfourpence と共にオブライエン厩舎が1着から4着までを独占してしまいました。いくらオブライエン師がデューハースト得意とは言え、今年は圧巻のパフォーマンスでした。
ライアン・ムーアが騎乗して今年24勝目のGⅠ戦勝利をプレゼントしたユーエス・ネイヴィー・フラッグは、2週間前にミドル・パーク・ステークスに勝ったばかり。その前のラウンド・タワー・ステークス(GⅢ)からG戦3連勝で、GⅠ戦も2連勝となりました。ミドル・パーク/デューハーストの連覇は最近では珍しく、特に近年の番組編成見直しがあってからは初めてでしょう。前回も紹介したように、同馬の全姉ローリー・ポリー Roly Poly も今期GⅠ戦3勝。何とも凄い姉妹です。同馬の2000ギニーのオッズはレース前の33対1から8対1へと急上昇し、レース前は7対2で本命だったエキスパート・アイが10対1に下がったために逆転してしまいました。
短期間でGⅠ戦を立て続けに使うという、これまでの常識を覆すローテーションで臨むチーム・オブライエン、ユーエス・ネイヴィー・フラッグは今期既に11戦もこなしていますが、3週後のBCに遠征するという可能性もあって、日本の馬とは鍛え方が違うと言ってしまえばそれまででしょうか。
今年のニューマーケット最後のG戦は、ダーレー・クラブ・ステークス Darley Club S (GⅢ、3歳上、1マイル1ハロン)。3頭が取り消して9頭立て。前走グッドウッドのリステッド戦に勝ったモナークス・グレン Monarchs Glen が7対2の1番人気。
4番人気(7対1)フォレスト・レンジャー Forest Ranger の逃げを後方で待機したモナークス・グレン、期待に応えて抜け出すと、中団から伸びる7番人気(10対1)のロビン・オブ・ナヴァン Robin Of Navan に1馬身4分の1差を付けて快勝。更に1馬身差で3番人気(5対1)のスパーク・プラグ Spark Plug が3着に追い込みました。2番人気(4対1)に支持された去年の勝馬マフリーハ Muffri’Ha は5着。
ジョン・ゴスデン厩舎、ランフランコ・デットーリ騎乗のモナークス・グレンは、オーナーもハーリッド・アブダッラーとあってイネイブル Enable と同じチーム。2戦目と3戦目を連勝して臨んだサンダウン・クラシック・トライアル(GⅢ)は4着でしたが、父フランケル Frankel という血統でもあり、4歳馬になってからの活躍が期待されます。御すのが難しい馬と言うことで、やはりデットーリのような名人の手助けが重要でしょう。
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