リズン・スター、2018は?

2月第3週のアメリカは、月曜日がプレジデンツ・デイの休日とあって3連休。競馬サークルでも3日間連続のG戦開催となります。

その初日、土曜日の2月17日は4つの競馬場で合計8鞍のG戦が行われましたので、やや急ぎ足に見て行くことにしましょう。最初はフェア・グラウンズ競馬場の4鞍。オークスとダービーに向けたトライアルが見所でしょう。
最初に行われたマインシャフト・ハンデキャップ Mineshaft H (GⅢ、4歳上、8.5ハロン)は、 fast の馬場に1頭が取り消して7頭立て。去年秋のキーンランドでファイエット・ステークス(GⅡ)を制したザ・プレイヤー The Player がイーヴンの1番人気。
そのザ・プレイヤーがスタートから先手を取って後続に3馬身差の逃げ、そのまま3番手追走の5番人気(9対1)サーストフォーライフ Thirstforlife に4馬身4分の1差を付け堂々の逃げ切り勝ちで人気に応えました。最後方から追い込んだ2番人気(2対1)スクーバ Scuba がハナ差の3着。勝時計の1分42秒29はトラック・レコードというオマケ付き。
ウイリアム・ブラッドレー厩舎、カルヴィン・ボレル騎乗のザ・プレイヤーは、上記ファイエットに続いてG戦2勝目となる5歳牡馬。去年はファイエット勝ちのあとチャーチルのクラーク・ハンデ(GⅠ)に挑戦して5着に終わってシーズンを終了。今期は前走リステッド戦のルイジアナ・ステークスで4着し、シーズン2戦目で初勝利です。3歳時にはインディアナ・ダービー(GⅡ)2着の実績もあり、もう一段上の活躍も期待できそう。

次はオークスを目指す牝馬によるレーチェル・アレキサンドラ・ステークス Rachel Alexandra S (GⅡ、3歳牝、8.5ハロン)。ここも取り消しが1頭あって7頭立てとなり、目下4戦3勝2着1回と堅実なモノモイ・ガール Monomoy Girl が4対5の1番人気。
3番人気(7対1)のクラッシー・アクト Classy Act が逃げ、モノモイ・ガールは最後方で待機。本命馬は第3コーナーで外から徐々に進出し、第4コーナーでは2番手。直線に入ると外からクラッシー・アクトを捉え、先頭に立つとやや外に膨れながらも独走態勢に持ち込み、粘るクラッシー・アクトに2馬身半差を付ける快勝でした。3番手を進んだ2番人気(2対1)のワンダー・ガドー Wonder Gadot が1馬身4分の1差で3着。
ブラッド・コックス厩舎、フロラン・ジェルー騎乗のモノモイ・ガールは、去年9月インディアナ・グラウンドのデビュー戦から一気に3連勝し、11月チャーチルのゴールデン・ロッド・ステークス(GⅡ)で2着。冬場はじっくりと調整し、今シーズン初戦のここでG戦初勝利を飾るとともに、オークス候補に上がってきました。

続いては、その名もフェア・グラウンズ・ハンデキャップ Fair Grounds H (芝GⅢ、4歳上、9ハロン)。芝コースは firm 、12頭と頭数が揃い、5連勝中のミスター・ミスアンダーストゥッド Mr. Misunderstood が6対5の1番人気。5連勝の中にはルイジアナのスーパー・ダービー(一般ステークス)やコモンウェルス・ターフ・ステークス(芝GⅢ)が含まれます。
スタートでは1番枠発走の7番人気(34対1)サッチャー・ストリート Thatcher Street がジワッと先頭に立ちましたが、外11番枠から出た10番人気(56対1)の伏兵グレート・ワイド・オープン Grat Wide Open が第1コーナーで思い切って先頭に立っての逃げ。一旦2番手に控えていたサッチャー・ストリートが再び先頭を奪って第4コーナーに入りましたが、直線では後方待機組が外から一気に追い上げて様相一変。最後は7番手追走の本命ミスター・ミスアンダーストゥッドと10番手から更に外を衝いた3番人気(9対2)シンクロニー Synchrony の2頭のマッチレースとなり、外のシンクロニーがミスター・ミスアンダーストゥッドに2馬身差を付ける鮮やかな差し切り勝ちです。同じく9番手から追い込んだ9番人気(43対1)のティズ・ア・スラム Tiz a Slam が5馬身差の3着。
マイケル・シュティドハム厩舎、ジョー・ブラーヴォ騎乗のシンクロニーは、これがG戦初勝利となる5歳牡馬。去年5月27日にモンマス競馬場のレッド・バンク・ステークス(芝GⅡ)で2着して以来となる休み明けの実戦で、見事結果を出しました。

フェア・グラウンズのメイン、そしてこの日最も注目されるのがリズン・スター・ステークス Risen Star S (GⅡ、3歳、8.5ハロン)。何と言っても一昨年の勝馬はあのガン・ランナー Gun Runner 、去年の勝馬ガーヴィン Girvin もその後ハスケル・インターナショナルを制しています。今年は1頭が取り消して9頭が参戦し、このレースの前哨戦となるル・コント・ステークス(GⅢ)を制したインスティルド・リガード Instilled Regard が7対5の1番人気。
レースは8番人気(41対1)の伏兵スナッパー・シンクレア Snapper Sinclair が逃げ、直線でも渋太く粘る荒れ模様の流れ。4番手追走から意外に伸びない本命馬を尻目に差を詰めてきたのが、2番手でマークしていた6番人気(21対1)のブラヴァゾ Bravazo 。外からブラヴァゾがスナッパー・シンクレアに並び掛けた所がゴールで、写真判定の結果、ブラヴァゾが逃げ馬をハナ差捉えていました。3番手を進んだ2番人気(5対2)のノーブル・インディー Noble Indy が2馬身差で3着に入り、人気のインスティルド・リガードは首差届かず4着まで。何れにしても前残りの競馬です。レース後のリアクションは、今年はやや小粒な印象か。
ウェイン・ルーカス厩舎、ミゲル・メナ騎乗のブラヴァゾは、8月のサラトガでデビューして8着。2戦目9月のチャーチル・ダウンズで初勝利を挙げ、ブリーダーズ・フューチュリティー(GⅠ)に挑戦して2着と好走。2歳シーズンはケンタッキー・ジョッキー・クラブ・ステークス(GⅡ)10着大敗で終え、今期は1月にオークローン・パークでアローワンス戦に勝って2勝目を挙げていました。3勝目がG戦初勝利で、ダービー候補に名乗りを上げています。

以上でフェア・グラウンズを終え、次はメリーランド州のローレル・パーク競馬場。ここは生憎雪に見舞われる悪天候となり、最初のジェネラル・ジョージ・ステークス General George S (GⅢ、4歳上、7ハロン)は sloppy の馬場に2頭が取り消して8頭立て。取り消した2頭は何れも有力候補だっただけに、前走同じローレルの一般ステークス(ファイアー・プラグ・ステークス)3着だったサムシング・オーサム Something Awesome が押し出されるように3対1で僅差の1番人気。
雪が降りしきる中、1番枠から出た4番人気(4対1)のカウボーイ・ミズ Cowboy Mz が逃げ、これを追った前3頭の競馬になると見えましたが、最後はこの馬場にも拘らず外から2頭が追い込み、5番手追走から大外を衝いた本命サムシング・オーサムが、やはり7番手から伸びた5番人気(5対1)フェローシップ Fellowship を首差抑えて人気に応えました。前半3番手から粘った3番人気(4対1)のイッツ・ザ・ジャーニー It’s the Journey が半馬身差の3着。
ホセ・コラレス厩舎、エルヴィス・トゥルヒーヨ騎乗のサムシング・オーサムは、これがG戦初制覇となる7歳せん馬で、前走ファイアー・プラグの前はアローワンス戦を2連勝。調子の良さで大混戦を制したという印象です。

次のバーバラ・フリッチー・ステークス Barbara Fritchie S (GⅡ、4歳上牝、7ハロン)が始まる頃には、馬場は更に悪化して muddy に。出走予定の半数に当たる6頭が取り消しての5頭立てとなり、3連勝中の4歳馬ミズ・ローカスト・ポイント Ms Locust Point が3対5で圧倒的な1番人気。
雪が叩きつけ、テレビ・カメラにも何も映らない中、人気のミズ・ローカスト・ポイントの逃げ。アナウンサーが良く実況できるものだと思いますが、コースにも雪が積もり始め、「もう、中止でしょ」という馬場状態。先手必勝、逃げた大本命がそのまま、2番手を進んだ3番人気(6対1)のモイエティー Moiety に4馬身半差を付けて逃げ切り、最後方から追い込んだ2番人気(3対2)のバーンド Berned が1馬身半差の3着に入っています。
ジョン・サーヴィス厩舎、ホルヘ・ヴァルガス騎乗のミズ・ローカスト・ポイントは、去年2月にフォワード・ギャル・ステークス(GⅡ)でG戦に初挑戦して5着。そのあとパークスのアローワンス戦、ローレルの一般ステークス(ウィラ・オン・ザ・ムーヴ・ステークス、ワッタ・サマー・ステークス)に2連勝し、2度目の挑戦でG戦初勝利となりました。

雪のローレルは早々と退散し、次はオークローン・パーク競馬場のバヤコア・ステークス Bayakoa S (GⅢ、4歳上牝、8.5ハロン)へ。ところが、こちらは雪にはならなかったものの、雨で馬場は同じく sloppy 。1頭が取り消して6頭立てとなり、G戦4勝馬で11月のチルッキ・ステークス(GⅡ)と前走ピッピン・ステークス(リステッド戦)を連勝中のファレル Farrell が7対5の1番人気。
レースは6番人気(17対1)のデファイ Defy の逃げで始まり、ファレルは5番手で待機。2番手でマークした2番人気(2対1)で前年の覇者テラ・プロメッサ Terra promessa が逃げ馬を捉えて2連覇達成かと思われましたが、前半最後方に控えていた3番人気(3対1)のストリームライン Streamline が内ラチ沿いにスルスルと進出し、第4コーナーで思い切り外に出して追い込むと、テラ・プロメッサを1馬身4分の1差で差し切って同馬の2連覇の夢を打ち砕きました。4番手を進んだ4番人気(6対1)のトーレント Torrent が1馬身差で3着に入り、人気のファレルは伸びず、6着最下位惨敗に終わっています。
ブライアン・ウィリアムソン厩舎、ゲーリー・スティーヴンス騎乗のストリームラインはこのレース、一昨年は2着(G戦初挑戦で)、去年は3着で、3度目の正直。去年はこのあとアゼーリ・ステークス(GⅡ)でG戦初勝利を挙げていますから、今年もアゼーリからアップル・ブロッサムでGⅠ戦初勝利を目指すものと思われます。前走のピッピンでは、本命で敗れたファレルの3着でした。

土曜日の最後は、サンタ・アニタ競馬場からブエナ・ヴィスタ・ステークス Buena Vista S (芝GⅡ、4歳上牝、8ハロン)。去年は雨でダートに変更され、格もGⅢに格下げされた一戦です。この日は去年とは打って変わって快晴。中東部の悪天候が嘘のように陽射しも眩しく、馬場は firm 。9頭が出走し、前走アメリカン・オークス(芝GⅠ)で2着した明け4歳馬マダム・ダンセアロット Madam Dancealot が2対1の1番人気。
思い切り良く飛び出したのは大外の最低人気(55対1)ジューノー Juno で、後続に5馬身差を付けて快調に逃げます。ジューノー先頭で直線も懸命に粘りましたが、前半6番手で待機した5番人気(12対1)のフォールト Fault が直線では内ラチ沿いギリギリを衝いて抜け出し、3番手から逃げ馬の外を追い込んだ6番人気(12対1)のサンダリング・スカイ Thudering Sky を1馬身抑えて優勝、通ったコースの差が出た競馬となりました。粘ったジューノーが頭差の3着に入り、後方から末脚に賭けたマダム・ダンセアロットは5着まで。
フィリップ・ダマト厩舎、ジョヴァンニ・フランコ騎乗のフォールトは、去年8月にG戦初挑戦でパッカー・アップ・ステークス(芝GⅡ)に優勝した4歳馬で、去年はその後G戦と一般ステークスで3・4・5・4着の成績でシーズンを終了。ここが今期のデビュー戦でした。

 

 

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