ヘンリー・ウッドへの捧げもの
これまでいくつかのコンサートでヘンリー・ウッド生誕150年を紹介してきましたが、8月最終日に行われたプロム56は、ほぼ全曲がウッドに因んだ作品で構成されていました。以下のもの。
8月31日 ≪Prom 56≫
ラヴェル/スペイン狂詩曲
ジョン・アイアランド/ピアノ協奏曲
~休憩~
ドブリンカ・タバコヴァ Dobrinka Tabakova/材木と鋼 Timber & Steel(世界初演)
ドビュッシー=ウッド/前奏曲集第1集~沈める寺
グラナドス=ウッド/12のスペイン舞曲集作品37~第5番「アンダルシア」
ワーグナー=ウッド/ヴェーゼンドンク歌曲集~夢
グレインジャー=ウッド/ストランド街のヘンデル Handel in the Strand
ラヴェル/ラ・ヴァルス
BBCコンサート管弦楽団
指揮/ブラムウェル・トーヴェイ Bramwell Tovey
ヴァイオリン/ナサニエル・アンダーソン=フランク Nathaniel Anderson-Frank
ピアノ/レオン・マコーレー Leon McCawley
前半の2曲は共にウッドが英国初演、乃至は世界初演した作品で、後半は編曲者としても名前が知られるウッドがオーケストレーションした作品を4曲取り上げ、最後はウッドが英国初演した名作でコンサートを閉じます。
演奏は、BBCコンサート管弦楽団と首席指揮者のトーヴェイ。トーヴェイのプロフィールはこちら↓
冒頭のスペイン狂詩曲は、1909年にウッドが英国初演した作品で、続くアイアランドは1930年にウッドが世界初演しています。
かつてはイギリス最高のピアノ協奏曲と言われたこともあるアイアランド作品は、nkoda の会員ならスコアを閲覧しながら聴くことができます。
ソリストのマコーレーはこんなピアニスト。
アンコールは、正にこのコンサートに相応しくシューマンの「献呈」をリストがピアノにアレンジした版が演奏されました。
後半の最初に取り上げられたブルガリア生まれの女性作曲家タバコヴァの作品は、ウッドとは直接の関係こそありませんが、現代音楽の紹介に熱心だったウッドに献呈する一夜としては相応しい作品と言えましょう。作曲家のプロフィールも紹介しておきましょう。
続いてはウッドがオーケストレーションした作品が4曲並びます。夫々にドラマがありますが、ドビュッシーは実際に寺院の鐘が鳴り響くアレンジ。またグラナドスは、乗船していた船がドイツ軍のUボートに撃沈されて死去した直後に追悼の意味合いで編曲されたもの。
ワーグナーは自身がヴァイオリン・ソロと小編成アンサンブルに編曲したものを更にウッドが手を加えた逸品。ここでソロを弾いたアンターソン=フランクは、BBCコンサート管弦楽団のコンサートマスターです。
最後のラ・ヴァルスは、ウッドが1921年に英国初演した作品。
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