強者弱者(142)

蝉の声  蝉の声焼くが如し。  東京には小蝉、日ぐらし、糸とり蝉、油蝉、寒蝉の五種を産す。小蝉は七月の初より生ず、日ぐらし之に次ぎ、糸とり蝉、油蝉続いて出づ。  梅雨晴れて小蝉の鳴くを聞く。声油を炒るが如く単調にして長く、抑揚極め...

フェアリーのオークス・ダブル

カラー競馬場から、昨日行われたアイルランド・オークス(GⅠ、3歳牝、1マイル4ハロン)の結果が入って来ました。日記のタイトルにしたように、エプサムの英オークスの覇者スノー・フェアリー Snow Fairy が圧勝、英愛オークス・ダブルを達成...

強者弱者(141)

なでしこの花  此頃野になでしこの花あり。東京にありては目黒、大崎、大井の辺りすべて南郊の野に之を見るべし。情調を主とする邦人の趣味を最もよく代表したるものは此花なり。相模の國はなでしこの野なり。松生ふる岡の上に、波寄する砂の上に、白砂的&...

土曜の英愛仏

昨日はイギリス(ニューバリー競馬場)、アイルランド(カラー競馬場)、フランス(メゾン=ラフィット競馬場)3国でパターン・レースが行われました。どれもGⅢ戦ですが、夏・秋のGⅠ戦を目指す馬たちがステップレースとして使ってくるケースも目立ちます...

アイルランド・オークスの枠順

この日曜日に行われる愛オークスの枠順が発表されました。セントレジャーを別にすれば、今シーズン最後の(英愛仏)クラシック・レースです。 出走馬は16頭。予想以上に多くの馬が出てきました。カラー競馬場は木曜日に雨が降りましたが、直線コースは稍重...

強者弱者(140)

カンナの花  ダリヤに次いでカンナの花咲く。カンナは釈迦のみまかれる霊鷲山に咲くといへり。真紅にして燃ゆらんかなしみを語る。其色彩の極端なる寔に熱帯の情調にふさへり。ダリヤは近年の流行なり。由来欧人は草花に就きて主に色彩と香気とをもとめ、邦...

二期会公演「ファウストの劫罰」

前日に引き続いて気分はフレンチ。上野の東京文化会館で行われている二期会の「ファウストの劫罰」を見てきました。4日間開催の初日です。 期待は、ベルリオーズのあまりにも美しい音楽と、今やフランスの巨匠的存在となったプラッソンの指揮にありました。...

シルヴァー・フラッシュ・ステークス

昨日はアイルランドのレパーズタウン競馬場でシルヴァー・フラッシュ・ステークス(GⅢ、2歳牝、7ハロン)が行われました。 2歳牝馬の7ハロン戦、レース内容によっては来年のクラシックに繋がる可能性もあるレースです。GⅢに格上げされたのは2008...

読売日響・第495回定期演奏会

競馬カテゴリーでも触れましたが、昨日7月14日はバスティーユ・ディ。所謂パリ祭に相応しいプログラムが食欲をそそります。当然ながらシェフは常任指揮者カンブルラン。 フランス音楽と言ってもナマで日常的に聴けるのはフォーレだけ。音楽の美食家には絶...

雨のパリ大賞典

昨日は7月14日。と言えばフランスの革命記念日(バスティーユ・ディ)で、日本ではパリ祭で通っています。 ところでフランスの競馬は、2005年の改革によってクラシック体系そのものが大幅に見直されました。その最たるものがパリ大賞典(GⅠ、3歳牡...

強者弱者(139)

貧民窟の夏の夜  雨には何れもいひ合せたる様に足を劇場に運ぶ。各劇場とも盆狂言の興行賑々し。夜更けて劇場より貧しき我家にたどり行く少年あり。陋巷人なく、下水に異様の臭気あり。音楽と色彩と香料とに激しく興奮されたる若き心の、やがてはかなき現実...

強者弱者(138)

盂蘭盆  十一、十二日草市。夏の夜の興楽多かるうちに、草市ばかり情趣深きはなかる可し。苧殻、蓮の葉、溝萩など盂蘭盆の供物に、秋の七草など添へたるが月の光にうつりて露あり。カンテラの灯にはえて色あり。  十五日盂蘭盆。十六日藪入り。閻魔賽日、...